2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of X-ray emission spectrometer for tender X-ray region
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19K20610
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
鶴田 一樹 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光・イメージング推進室, 研究員 (50783510)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 軟X線発光分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
X線発光分光法(X-ray Emission Spectroscopy, XES)は、X線を照射することによって発生する蛍光X線を分光する手法である。高いエネルギー分解能でXESスペクトルを観測することで、物質の局所電子状態密度や素励起に関する情報を元素選択的に得ることができる。エネルギーが軟X線よりも高く硬X線よりも低いテンダーX線領域(2-5keV)では発光分光装置製作の難易度が高いため広く普及していない。しかし、テンダーX線はクラーク数の高いケイ素や硫黄のp軌道、4d遷移金属などが実験対象となるために科学的にも産業的にもニーズがある。そこで本研究課題ではテンダーX線領域の発光分光装置を開発し、性能向上が期待されているリチウム硫黄電池材料に対して充放電での酸化還元反応を発光分光測定により分析することで電子軌道レベルから材料開発指針の構築を目指した。 本年はテンダーX線領域に対応した高効率回折格子分光器を検討した。テンダーX線は一般的に結晶分光器が用いられるエネルギーであるが、回折格子上に金属多層膜を蒸着することで回折効率を稼ぎ、軟X線から連続して測定可能な仕様とした。多層膜の周期を非周期にすることで効率が向上することが分かっていたので、レイトレーシングによってシミュレーションを実施し、最適な分光器を考案した。分光器と検出器の配置についてはSPring-8のBL27SUに設置してある軟X線用XES装置と同様にスリットレスで集光光源を用いたものを想定している。
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