2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K20640
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
羽鳥 康裕 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (30750955)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多感覚情報処理 / 予測 / 行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体に入力される感覚情報は時間的・空間的な統計的性質を有している。例えば、外界は急激に変化しないため、現在の刺激だけでなく、直近に観察した刺激を情報処理に利用することで、効率的な情報処理につながると考えられる。本研究は、感覚刺激が持つ時空間的な性質の学習や、その性質を利用した処理過程のメカニズムを検討することを目的としている。 時空間的な情報統合が行われる座標系の検討を引き続き行った。昨年度の成果として、網膜座標系に基づく情報統合を示唆する結果が得られていた。得られた結果が、応答のバイアスによるものでないことを検討するために、現試行が一試行後の刺激呈示の影響を受けているかを調べた。その結果、一試行後の刺激呈示の影響は受けていないことが分かった。試行間の時間間隔が大きくなると先行刺激の影響が小さくなることが知られている。実験では試行間の時間間隔が先行研究よりも長いため、試行間の時間間隔を短くした実験を行いたい。 人間は繰り返し呈示される空間配置(文脈)を学習し、効率的な探索に活用している。文脈の学習過程のモデルを構築した。モデルは画像から大域的な特徴を抽出し、探索対象の位置との関係を学習するモデルである。モデルは文脈によって効率化の速度が異なることを再現することができた。また、先行研究で知られている学習のその他の性質も再現することに成功した。この成果は現在論文としてまとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
空間配置の学習過程に関する成果の取りまとめを行っている段階である。先行刺激が知覚に与える影響については、研究の課題が明らかになっているため、その課題を解消するような実験を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
空間配置の学習過程に関する成果を論文として公表する。また、先行刺激が知覚に与える影響については、新規の実験を行い、成果を論文として公表したい。
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Causes of Carryover |
旅費の使用が想定よりも少なかったことと、論文の公表に至らなかったため、残額が生じている。残額は旅費と論文の投稿費用として主に使用する計画である。
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