2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K20648
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
石下 洋平 自治医科大学, 医学部, 講師 (30835632)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 聴覚情報処理 / カクテルパーティー効果 / 皮質脳波 / 電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
聴覚情報処理は、ヒトにとって最も重要な機能のひとつである言語機能の神経基盤である。しかし、聴覚情報処理機構はいまだにその全てが明らかになってい るわけではない。例えば、我々は膨大な量の聴覚情報(ガヤガヤとした背景音など)の中から適切に取捨選択し、自分にとって重要な情報(自分の名前が呼ばれ たなど)に注意を向けることができる。「カクテルパーティー効果」はそのような仕組みのひとつとして有名であるが、長年の研究にも関わらず、その機序はいまだに明らかになっていない。その理由のひとつとして、頭皮脳波データや各種神経機能画像の時間空間分解能の限界が挙げられると考えられる。皮質脳波デー タは、高い時間空間分解能を持つ一方で、その測定のためには手術により頭蓋内に電極を留置する必要があり、測定の機会は限られる。昨年度、研究代表者の所属施設において、外科的焦点切除術の適応となる薬剤抵抗性てんかん患者で、術前精査目的に硬膜下電極を留置した患者3名に協力して頂き、皮質脳波データの測定を行った。カクテルパーティー効果を再現するような聴覚課題を作成し、これをヘッドホンで聴いて頂きながら皮質脳波測定を行った。さらに、データ解析によって、賦活した脳領域を同定し、同部位に電気刺激を加えることで脳活動に変化がみられるかどうかについてもデータ測定を施行した。今後さらに測定データを蓄積し、聴覚情報処理におけるtop-down機構の局在と機序の解明を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本邦でのCOVID-19感染の拡大に伴い、当院でも不急の手術については延期する対応をとった。このため、2020年度の頭蓋内電極留置術施行症例数は若干予定より少ない件数にとどまった。 また、現在被験者に提示している聴覚課題では背景脳活動と賦活された脳活動の分離がやや困難であり、今後改良が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
依然としてCOVID-19感染は完全な鎮静化が得られておらず、今後の先行きも不透明である。一方で、当院での手術施行についてはほぼ通常通り施行できる体制となっており、今年度以降症例数をさらに積み重ねていきたい。 また、提示する聴覚課題の改良も至急進めていきたい。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大に伴い、海外渡航不可となり、国際学会などが中止・延期・web開催となった。これにより、旅費支出がなくなった。また、手術件数自体も減少したため、必要経費も減った。
今年度は、手術件数も回復すると予想され、データ整理のためのHDD購入・国際学会発表/論文発表準備などに使用していきたい。
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