2021 Fiscal Year Research-status Report
T細胞に着目した免疫応答モデルの構築:自己免疫性疾患への展開
Project/Area Number |
19K20655
|
Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
玉井 美保 沖縄科学技術大学院大学, 免疫シグナルユニット, スタッフサイエンティスト (20619704)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 流体デバイス / 腸管上皮 / 免疫システム / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
生体の免疫システムには複数の要因が関与しているため、その培養モデルの構築は容易ではない。免疫システムの作用機序を理解し、制御する手法の開発は医学・医療において極めて重要な課題であり、培養モデルの構築はそのための非常に有用なツールとなると考えられる。そこで本研究では、生体の免疫応答が再現可能な培養モデルシステムの構築を目指し研究をおこなっている。免疫応答を培養レベルで再構築するために、まず最大の免疫器官である腸管に着目している。これまでに腸管組織培養モデルの構築には、多孔質膜を中心にして上下に流路を有するマイクロ流体デバイスにより、ヒト結腸がん由来細胞株であるC2BBe1細胞を用いて、腸管上皮組織培養モデルの構築をおこなってきた。腸内細菌モデルとして、蛍光タンパク質を発現する大腸菌 DH5αを腸管組織培養モデル内に導入することで共培養系の構築を進め、流速により菌数を制御することで腸管上皮組織モデルの細胞のバリア機能の保持も可能であった。次に、腸の生理機能に重要な役割を果たしている消化管に常在するマクロファージに着目し、このモデルシステムにマクロファージ様細胞株であるRAW264細胞の導入をおこなった。構築した腸管組織モデルにRAW264細胞を播種、接着後に大腸菌を導入すると、腸管組織モデルの膜抵抗値の減少が観られた。これは、大腸菌なしでは観られなかったことから、大腸菌とRAW264細胞との作用によるものと考えられる。そこで、炎症性サイトカインに着目し解析を進め、RAW264が大腸菌に応答しTNFαを産生、その刺激をC2BBe1細胞が受けることで、炎症性サイトカインであるIL-8が放出されていることが遺伝子発現レベルで確認された。これらの結果より、C2BBe1細胞による炎症性サイトカインにより上皮障害が惹起され、上皮細胞のバリア機能低下つまり膜抵抗値が減少したことが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の目標では免疫システムを有するマウス由来腸管上皮培養しステムの構築も同時に進める予定であったが、腸管由来の初代培養細胞の培養系構築が予想よりも難しく、うまく進まなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度うまく進められなかった、マウス由来腸管上皮培養しステムの構築を目指し研究を進める。まずは、マウス由来初代培養腸管上皮細胞のオルガノイド培養系を構築し、その後膜上へ播種し密着結合を有するバリア機能を保持した単層培養系の構築を進める。
|
Causes of Carryover |
マウス初代培養細胞を用いたモデルシステムの構築が難航したため、次年度使用額が生じているが、研究を進めるため課題を延長申請しており、今後初代培養モデル構築の推進に使用していく。
|