2022 Fiscal Year Annual Research Report
粒子化ハイドロゲルを用いた血管網を有する脳組織の構築
Project/Area Number |
19K20656
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷川 聖 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (00823353)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経組織工学 / 再生医療 / 神経再生 / ハイドロゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は脳の欠損病変に対してハイドロゲルを用いた新しい治療アプローチを開発することである。実験当初は粒子化したハイドロゲルを用いていたが、in vitroでの3次元培養は可能であるものの、in vivo欠損部で定着させることが叶わず、新しい素材として多数の孔を有する多孔質ゲルを開発し以降の研究に用いた。 これまでの研究で、神経細胞に適したハイドロゲルの表面電位は正電荷と負電荷が1:1割合で構成された中性電位であることを発見し、脳に近い硬さ(約1kPa)かつ、多数の孔を有する多孔質ゲルを開発した。この多孔質ゲルはin vitroで神経の3次元培養が可能であり、マウスの脳内で宿主脳や注入した細胞に対し長期間足場としての機能を提供することが明らかとなった。 本年度は多孔質ハイドロゲルの神経細胞の足場としての機能についてin vitro、in vivoの結果をまとめ、統計学的な解析および論文として提出し、リバイス実験として求められた複数点について実験を追加した。まずコントロールとしてのMatrigelの機能解析を行った。Matrigelはこれまでよく使われてきた足場素材であり、細胞浸潤性を有することが報告されているが、脳脊髄腔と交通のある脳欠損病変においては洗い流されてしまう問題点があり、我々の追加した実験でも約2週間の時点ですべての症例でMatrigelの残存が確認できなかった。一方で我々の開発したハイドロゲルは欠損部に残存しており、組織への固定という面において優位性が示された。また使用した神経幹細胞の幹細胞としての性能についてWestern blottingや蛍光免疫染色を用いて神経細胞やグリア細胞への分化能について評価した。さらに細胞数計測の統計解析についてより具体的な手法について記載した。本論文はScientific Reportsにアクセプトされた。
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