2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of proton CT system with sub-millimeter spatial resolution for treatment plan for particle therapy
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19K20657
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 香津生 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助教 (20780860)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リッジフィルタ |
Outline of Annual Research Achievements |
粒子線治療はX線治療に比べて、特定の深さで高い放射線量を放出するブラッグピークという特徴があるため、副作用の低い放射線治療として注目されている。この特徴を最大限に生かすために粒子線治療前に照射部位に合わせた照射条件を決めておく治療計画が必要があるが、臨床現場ではX線CTから得られる体内の断層データを元に行われている。しかしX線は粒子線と違いコンプトン散乱等の要素があるため、大きな不確かさを伴うという問題がある。そのため、X線の代わりに陽子線で体内をスキャンすることで、粒子線による線量分布を直接測定する陽子線CTが近年国際的にも活発に装置開発が進められている。この特徴を最大限に生かすためには目的の治療部位に対して一様な線量分布でかつそれ以外の部位ではできるだけ吸収線量が小さくなるように、最適化されたビーム照射を行う必要がある。ビーム軸方向には 拡大ブラッグピーク (SOBP) とよばれる深度方向に一様に線量分布を広げたビームを生成する必要があり、その線量分布生成のためのビーム軸上の構造物であるリッジフィルタの開発・テストを今年度は行った。 モンテカルロ・シミュレーションで求めた形状を3Dプリンタを用いることで生成した。CYRICにおいて要旨ビームを用いた性能評価を行い、NI USBを用いて自動化・高速データ取得を可能にした水中電離箱走査によって平坦度6.8 %の20 mmのSOBPにおいてが得ることができた。また、よりこれらの製作活動を活発化させるために東北大学連携ビジネスインキュベータにリッジフィルタ開発用スペースを設置した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
陽子線CTを行ううえで、治療計画にもとづいた正確な照射にはビームのエネルギー分布を正確に調整できることが重要となる。そのうえで、これまで本グループでは10年以上前に作成したリッジフィルタを用いてきており、クラック等の影響で十分な精度を達成できずにいた。今年度3Dプリンタで開発が可能になったことで、短時間で高い再現性でリッジフィルタを製作できるようになり、今後の研究を進めるうえで順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の本務が東北大学からPaul Scherrer Institutに移ったため、これまで進めていたビームを用いた実験が難しくなる。そこで、東北大学連携ビジネスインキュベータに開発拠点を用意し、これまで開発してきた水中電離箱システム、リッジフィルタ開発をオフラインベースで進め、それぞれのシステムを確立させる。
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Causes of Carryover |
今年度製作手法が確立したリッジフィルタについて、再度シミュレーションを通した最適化を行い、東北大学連携ビジネスインキュベータにおいて複数の長さの拡大ブラッグピーク用のリッジフィルタを製作するため。 リッジフィルタ製作に必要なフィラメント等に用いる。
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