2022 Fiscal Year Research-status Report
多階層スケールの流動解析による赤血球と内皮グリコカリックスの力学的相互作用の解明
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19K20659
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
宮内 優 宮崎大学, 工学部, 准教授 (00758691)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 流体解析 / 赤血球 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管内皮を覆う血管内皮細胞の膜表面にはグリコカリックスと呼ばれる、糖鎖に連なったブッシュ状の高分子膜タンパク群が存在しており、グリコカリックスの損傷が様々な循環器系疾患を引き起こすことが知られている。 本研究は赤血球とグリコカリックスの力学的相互作用の解明を目的としている。これまでの研究において、傾斜遠心力下で壁面近傍を移動する赤血球の数値解析に赤血球の曲げ剛性モデルを導入すると、赤血球が壁面に近づいたときに計算が不安定になり、計算が破綻すること、単純せん断流れ場の球形カプセル挙動の解析では先行研究と同様の結果が得られることが確認された。本年度は、作成したコードの検証の続きとして、単純せん断流れにおける赤血球挙動の解析を行った。赤血球の弾性にはSkalakモデルを使用しており、有限要素法によって離散化されている。単純せん断流れにおける単一赤血球の変形挙動は、無次元パラメータであるキャピラリー数によって整理される。本解析においてもキャピラリー数が小さい場合に現れる赤血球の形状を維持したまま、赤血球が回転するタンブリング運動は再現されたが、その運動は周期的でなく、不自然な挙動を示した。また、キャピラリー数が大きい場合には、流れの方向に伸長した楕円形に近い形状になることが報告されているが、本解析で得られた赤血球形状は先行研究とは異なる形状となった。これらの問題が生じた理由として、本解析で設定した計算領域が赤血球形状に比べて十分に大きくないこと、赤血球膜の格子点の時間発展の計算精度が低いこと、流体用の格子点数が少ないことなどが考えられる。今後はこれらの計算条件や計算法を変更し、問題の解決を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
解析において数値不安定性が発生し、その原因究明に時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
詳細な検証を行い、数値不安定の解消を試みる。
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Causes of Carryover |
今年度において学会出張費や論文投稿料を使用しなかったため、残額が生じた。翌年度に繰り越して学会出張費や論文投稿料などに充てる。
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