2019 Fiscal Year Research-status Report
焦点調節画像を用いた新規大腸腫瘍診断の解析と治療への応用
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19K20667
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山村 健史 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10709091)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 焦点調節画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
焦点調節画像を大腸内視鏡に応用することにより、内視鏡画像内の血管や表面構造の僅差の認識能を高め、NBIやpit patternの画像を用いて焦点画像を作成した。2019年度の目標として最適な焦点調節画像取得のための撮影条件の決定を挙げた。Pit patternの画像はクリスタルバイオレットによる染色むらや、不純物による影響を拾ってしまいノイズが大きくなるため、現状ではNBIによる画像が最も解析による恩恵が大きいと判断した。撮影方法として接近と離れる作業をすばやく行うことが画像作成に最も適していた。 得られた画像を焦点調節画像に変換し、実際に内視鏡医による評価を行った。早期大腸癌に対してimaged enhanced endoscopy(IEE)拡大観察動画を撮影し、ランダムに画像をpick upし焦点調節画像を生成した。また、同じくpit pattern観察動画からも焦点調節画像を作成した。元画像と焦点調節画像をランダムに並べ替え、2回ずつ読影した。結果はJNET診断、pit pattern診断における診断一致率は、元画像と焦点調節画像との間に有意差を認めなかった。しかし読影者のhigh confidenceの割合(JNET:49.0%→85.2%, pit pattern:35.4%→56.3%)や診断時間(JNET:4.94秒→3.49秒、pit pattern:6.98秒→4.53秒)においては有意に改善を認めた。また、IEE拡大観察の焦点調節度、surface pattern評価容易度、vessel pattern評価容易度、JNET診断容易度について5段階のリッカート法で評価し、元画像と焦点調節画像で比較すると、すべての項目で有意に改善を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の目標は概ね達成できたと思われる。画像撮影の条件は一定の傾向を把握し、画像に関しても評価可能と判断していた。またその焦点画像の解析も行ったが、診断者のhigh confidenceの割合・診断時間・診断容易度などの主観的評価においては向上を認めた。ただし深達度診断の正診率などの客観的評価においては有意差を認めなかった。通常画像でも8割以上の正診率となる深達度診断では差をつけるのは困難なため、今後は腫瘍の範囲診断やAIへの応用を模索していく必要がある。 現在、大腸腫瘍の3D構築画像の生成に着手している。ベースとなる技術は既に構築されているが、それを内視鏡画像に応用する方法を改良中である。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した焦点調節画像上に、癌と腺腫部・癌部の深達度別にマッピングを行い、実際に切除した腫瘍の病理結果と比較することで、2Dマッピングを作成することができるかを検証する。線維化や癌の粘膜下層への浸潤を予想できれば内視鏡治療の際に有用な情報となりうる。また3D画像構築を行い、治療前に予め浸潤部位、治療困難部位などが予想できる可能性がある。3D構築像を作成前後で内視鏡治療成績を比較し、3D画像構築が治療成績向上に寄与するかを検討する。
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Causes of Carryover |
撮影方法の適正を見極めるのに時間がかかり、当該年度の使用額が進まなかった。翌年度に計上した解析を行うため、その分を計上した。
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