2019 Fiscal Year Research-status Report
白血病細胞の紫外光吸収測定および蛍光観察のためのバイオチップ作製とその評価
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19K20704
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
稲田 シュンコ 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (90778127)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 癌細胞 / バイオチップ / 紫外発光ダイオード / 癌細胞紫外光吸収 / 光線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では癌細胞のアポトーシスを有効的に誘導する紫外波長域を明確にすることが大きな目的であり、効率良く調査を進めるため、紫外・可視光源および受光デバイスが集積したバイオチップの作製が必要である。今回提案するバイオチップは新材料であるアモルファスフッ素樹脂(CYTOP)を母材とし、主な構造および役割はバイオチップの中心に流路を形成し、流路壁の片面から波長200nm(紫外発光ダイオード:UV-LED)の紫外光を細胞に照射し、もう片面の流路壁に設けたスリット、回折格子および分光器で紫外光を検出するものである。 当該年度の研究成果では新材料であるアモルファスフッ素樹脂(CYTOP)基板の作製に取り掛かり、平坦でひずみの少なく、紫外光が透過し易いように厚さ約200umのアモルファスフッ素樹脂(CYTOP)を安定して作製できるようになった。フェムト秒レーザにより、本アモルファスフッ素樹脂(CYTOP)基板内に流路形成を試みたが加工はできなかった。そのため、基板表面上に深さ50umの溝を形成して、もう一枚のモルファスフッ素樹脂(CYTOP)基板でフタする方法に変更した。一方、回折格子はピッチ幅15umの凹凸表面が可能となり、スリットは幅100umの貫通加工が可能になった。 また、同時進行で本バイオチップの完成後に実験により導き出した癌細胞の吸収波長で照射実験ができるように小型照射装置を開発(どの紫外波長域のLEDにでも対応できるように設計)した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では癌細胞の紫外光吸収を調査するため、アモルファスフッ素樹脂(CYTOP)を母材としたバイオチップの開発および評価を目的としている。本バイオチップはフェムト秒レーザー加工によりアモルファスフッ素樹脂(CYTOP)基板中心に流路を形成し、流路壁の片面から波長200nm(紫外発光ダイオード:UV-LED)の紫外光を細胞に照射し、もう片面の流路壁に設けたスリット、回折格子および分光器で紫外光を検出するものである。現在までの進捗は当初予定していた計画よりやや遅れている。その理由としては次の原因が挙げられる。 (1)微細加工し易いように平坦でひずみの少ないアモルファスフッ素樹脂(CYTOP)基板を作製するための条件出しに時間を要した。 (2)新材料のアモルファスフッ素樹脂(CYTOP)はフェムト秒レーザーによる加工の実績が非常に少なく、試行錯誤を繰り返しながら取り組んでいる。 (3)弘前大学での任期満了に伴ない、研究を継続するため熊本大学へ異動せざる負えなくなった。 これらの事情により本研究の進行が遅れている。現在は遅れを取り戻すべく、研究を急ぎで進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の現在の進捗はやや遅れている状態にある。そのため今後の研究推進は次のようにして行う。 (1)アモルファスフッ素樹脂(CYTOP)を母材とする流路、スリット、回折格子および紫外発光ダイオード、分光器を結合させバイオチップを完成させる。 (2)バイオチップを評価するため、急性骨髄性白血病細胞(KG-1a細胞)、急性リンパ性白血病細胞(HAL-01細胞)、慢性骨髄性白血病細胞(KU812細胞)の3種類のヒト白血病細胞を培養し、各細胞の紫外光吸収を計測する。 (3)(2)によって得られた波長域のもつ紫外発光ダイオードを開発した小型照射装置に組み込み、照射実験を行う。評価実験は急性骨髄性白血病細胞(KG-1a細胞)、急性リンパ性白血病細胞(HAL-01細胞)、慢性骨髄性白血病細胞(KU812細胞)に対して行い、細胞のアポトーシス誘導を評価する。 (4)本研究で得られた研究成果を学術雑誌および国内・国際学会に発表する。
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Causes of Carryover |
所属機関の異動に伴い、次年度使用額が生じた。これらの使用額はアモルファスフッ素樹脂(CYTOP)基板を母材とする流路、紫外発光ダイオード、スリット、回折格子、分光器を搭載したバイオチップの完成に使用する。
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