2020 Fiscal Year Annual Research Report
超音波を用いた生体組織構造推定と粘弾性計測を融合した慢性肝疾患の定量診断法の開発
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19K20705
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 翔平 東北大学, 工学研究科, 助教 (50815149)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超音波 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は,慢性肝疾患の極早期診断の実現に向けた定量診断法の開発を目的に,超音波を用いた粘弾性計測のための超音波エラストグラフィ法と,振幅包絡特性に基づく肝組織構造推定法について検討を進めた。超音波エラストグラフィ法においては,局所的な粘弾性特性を推定するための,超音波加振法について検討を進めた。超音波加振に指向性を持たせることで,局所的な粘弾性を計測するとともに,粘弾性の異方性も計測できる見通しを得た。振幅包絡特性に基づく肝組織構造推定法については,慢性肝疾患における近年の主要な課題である非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis: NASH)の定量診断を目的に検討を進めた。NASHでは,病変の進行に伴い,脂肪沈着に加えて線維化が進行する。肝線維化の肝組織構造推定法はこれまでに開発しているため,脂肪肝の肝組織構造を推定する手法について検討を進めた。肝線維化の肝組織構造推定法に用いるマルチレイリーモデルや,脂肪性肝疾患の定量化を目的に田村らによって開発された二成分仲上分布モデルにより,脂肪肝について定量評価できる見通しを得た。 開発した加振法を用いた超音波エラストグラフィ法による局所的な粘弾性の推定は,肝臓の局所機械特性を定量評価することにつながり,脂肪沈着と肝線維化が混在するNASH肝のように,複雑な組織構造を有する肝疾患の定量評価に有用である。さらに,マルチレイリーモデルや二成分仲上分布モデルを用いて脂肪肝を定量評価できる見通しを得たことで,脂肪沈着と肝線維化が混在するNASH肝組織構造の定量評価の実現が期待される。以上の手法を組み合わせ,NASH肝の局所的な機械特性と肝組織構造を同時に推定し定量化することで,慢性肝疾患における近年の主要な課題であるNASHの早期診断および進行度の定量評価の実現が期待される。
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Research Products
(4 results)