2020 Fiscal Year Research-status Report
糖代謝異常が左房形態および機能に与える影響と新たな心房細動治療への応用
Project/Area Number |
19K20707
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中西 弘毅 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80835140)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 心房機能 / 糖代謝異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
心房細動は世界人口の高齢化に伴い、患者数が急増しており、本邦においてもその患者数は間もなく100万人を超えると予想されている。心房細動は脳梗塞リスクを5倍、心不全リスクを3倍上昇させるため、心房細動ハイリスク患者の早期発見と治療介入は公衆衛生学上喫緊の課題である。左房拡大は心房細動の確立されたリスクであるが、すでに線維化を伴う一部不可逆的変化である。我々は左房拡大前の早期の左房機能低下を最新のスペックルトラッキング心エコー法で評価を行っている。 本年、我々の研究チームでは、心疾患のない症例において糖代謝異常が早期左室機能障害に与える影響を検討し、Cardiovascular Diabetology誌(IF 7.3点)に受理された。また、糖代謝異常と強く関連する内臓脂肪の蓄積と心房機能の関連を評価し、ヨーロッパ心臓病学会の若手最優秀賞にノミネートされるという極めて高い評価を得た。さらに、頸動脈で評価した内膜中膜複合体厚(intima-media thickness; IMT)が従来の心血管リスクと独立して、心房機能低下と関連していることを世界で初めて明らかにし、こちらはAtherosclerosis誌(IF 3.9点)に報告した。 また、日本心不全学会学術集会においては、『左房リモデリングから考える心血管疾患の病態と新たな予防戦略』の演題で教育講演を行い、この領域における最新の知見を我々の研究成果も併せて提供した。 本課題においては、1)心房細動患者における耐糖能異常を含めた糖代謝異常の有病率、2)糖代謝異常と左房形態や機能との関連、3)糖代謝異常が心房細動アブレーション後の左房リモデリングや再発に与える影響を明らかにすることを目標としている。昨年の80症例に加えて、本年は約50例の症例登録を行い、現在も症例登録を継続している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CODID-19の影響で、前半は症例集積に遅れが出たが後半は徐々にペースも回復してきている。
|
Strategy for Future Research Activity |
目標症例数を目指して引き続き症例登録を続ける。
|
Causes of Carryover |
COVID-19に伴い、前半で症例集積が少なく、バイオマーカー計測費用などが予想より少ない結果となった。翌年度に繰り越して使用する。
|