2021 Fiscal Year Annual Research Report
超音波応答性マイクロバブルを用いた脳腫瘍への薬物送達技術の開発と治療戦略の構築
Project/Area Number |
19K20717
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小俣 大樹 帝京大学, 薬学部, 講師 (80803113)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超音波 / マイクロバブル / 脳 / がん / 免疫療法 / 血液脳関門 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超音波とマイクロバブルを用いた脳腫瘍への薬物送達技術の開発と治療戦略の構築を行う。前年度までに、脳腫瘍モデルマウスの作製方法を確立し、低侵襲的かつ効率的に脳内へ薬物送達可能な超音波照射条件とマイクロバブル投与条件を見出した。また、数種類の抗がん剤の膠芽腫細胞に対する殺細胞効果を評価した結果、プラチナ製剤であるシスプラチンが高い殺細胞効果を示すことを明らかにした。さらに、脳腫瘍モデルマウスに対して、シスプラチンに超音波とマイクロバブルを併用した治療を3回行うことで、生存日数が延長することを明らかにした。そこで本年度は、シスプラチンに超音波とマイクロバブルを併用することで得られた治療効果増強のメカニズムを明らかにするため、脳腫瘍へのシスプラチン移行量について誘導結合プラズマ質量分析法を用いて測定した。その結果、シスプラチン単独投与群と比較して、超音波とマイクロバブルを併用した群において、脳腫瘍部分での高いシスプラチン移行量が認めらた。この結果から、超音波とマイクロバブルを併用することで、血管透過性を亢進し、脳腫瘍にシスプラチンを効率的に送達可能となり、高い治療効果が得られたことが示唆された。さらに、ドキソルビシン封入リポソームを用いた脳腫瘍治療効果について検討した結果、ドキソルビシン封入リポソーム単独投与群と比較し、超音波とマイクロバブルを併用した群において、脳腫瘍モデルマウスの生存日数の延長が認められた。以上より、脳腫瘍に対して効率的に抗がん剤を送達し、治療効果を増強可能な超音波とマイクロバブルを用いた薬物送達技術の構築に成功した。今後は、詳細な治療効果増強機構を明らかにするとともに、本技術とがん免疫療法を融合した脳腫瘍治療法の開発を目指す。
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Research Products
(10 results)