2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a thrombus monitoring system by comprehensive evaluation of information from multiple sensors using artificial intelligence
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19K20726
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
森田 伸友 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (90807554)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光計測 / 血栓検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに得られた光解析結果と本年度のin-vitro試験結果をもとに血栓センサ回路を最適化することで、血栓検出感度のさらなる向上を達成した。 センサ部品の一つであるCMOSチップのフォトダイオード及びアンプ回路の再設計を行い、3割以上の省配線化による実装性の向上、光応答速度の向上と光検出レンジの最適化を達成した。これにより血液のヘマトクリットが20%から40%まで変化させた際に得られるセンサの受光強度変動を従来の15% から60%まで引き上げられ、血栓に対する検出感度が4倍に高められることが示された。また、迷光対策のための微細シリコン部品の形状や実装方法を見直すことで、量産性も向上した。これらの変更によって基板やパッケージまで含めたセンサプローブサイズを従来の8 mm x 8 mm x 1.5 mm から4.5 mm x 5.5 mm x 1.1 mmと72%の小型化が達成され、センサの設置性がさらに向上した。この小型化によってセンサのより狭い隙間への設置や高密度の配置が可能となり、監視可能な血栓リスク箇所を大幅に拡大した。 血液の光学特性は酸素飽和度や脱水状態などといった血栓以外のイベントでも変動することが知られている。この対策として相互リファレンス法を提案し、in-vitro試験において、複数のセンサ信号をリファレンスとして相互比較することで、酸素飽和度による変動分をキャンセル可能であることを示した。この方法を用いることで、in-vitro試験系においてポンプ内の血栓を非侵襲、リアルタイムに検出可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CMOSチップのフォトダイオード及びアンプ回路の変更に血栓に対する検出感度の向上やセンサプローブサイズを70%以上の小型化を達成した。これにより、多数のセンサを密に並べることが可能となり、開発段階におけるin-vitro試験の効率化や将来の実用段階での監視可能な血栓リスク部の拡大を可能とした。また迷光対策のための微細Si部品の形状や実装方法を見直すことで、量産性も向上した。提案した相互リファレンス法によって酸素飽和度による変動分をキャンセル可能であることが示された。このことは今後のデータ解析において、各センサ単独ではなく複数のセンサ信号を複合的に解析うすることの重要性を示しており、データ解析における重要な指針を得た。本年度は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言等の影響で予定していた実験回数をこなすには至らなかったが、その対策として実験系を再検討し、少ない回数で十分な実験データが得られる系を考案した。以上のように、順当に成果が得られており、実験計画の遅延に対しても巻き返し可能な実験準備が進められているためおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに血栓監視センサの開発を行い、血液の光学特性変動に対して十分な感度を持つセンサが得られた。今後は本センサを増産し、in-vitro試験回路に数十個のセンサを設置して多量の学習用データを習得する。その後、血栓の発生状況の他、他の血液分析結果等と学習データを照らし合わせ、血栓の早期診断や予知可能なアルゴリズムを確立する。本年度は最終年度であるため、得られた成果で学術論文誌投稿や国内外学会発表等を積極的に行う予定である。
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Causes of Carryover |
外部でのin-vitro試験を多数回実施予定であったが、新型コロナ禍における緊急事態宣言等の影響により予定回数の実験を実施することが困難となった。これにより実験消耗品及び旅費を次年度繰り越しとし、残りの実験を翌年度に実施することとした。この状況は次年度も収束しない可能性もある。そこで次年度は継続繰り越し分予算の一部をセンサの増産にあて、少ない実験回数でも多数のデータが得られるような体制を整えることで研究計画を完遂する。
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