2020 Fiscal Year Research-status Report
echanical thrombectomy in acute ischemic stroke patients with a left ventricular assist device
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19K20729
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北野 貴也 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70772193)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 血栓回収 / 人工心臓 / 心移植 / LVAD / 心不全 / 血栓 / 病理 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、左室補助人工心臓(LVAD)装着中に脳血栓回収術を施行された症例(LVAD群)と、心原性脳塞栓症などの一般的な原因によって同じ治療を受けた脳卒中の患者(対照群)を比較した。LVAD群においても、8割程度の再開通率が得られており、再開通までの時間はLVAD群と対照群で有意な差は認められなかった。しかし、LVAD群では、再開通までに必要な治療の回数が多く、また術後の出血性変化が多かった。術後の症候性頭蓋内出血はLVAD群で2割程度に認められていた。血栓の性状をLVAD群と対照群で比較すると、LVAD群の血栓では血小板やフィブリンの成分が多く、赤血球が少なかった。LVAD群では血栓が治療抵抗性であるために再開通までに必要な処置数が多く、出血性合併症が多いのだと推察された。また、LVAD群では強力な抗血栓療法が長期になされていることも影響している可能性があった。これらの成果は、J Neurol Sci.に発表された。 本研究により、血栓の性状が血栓回収術においてきわめて重要な役割を果たしていることが改めて示された。血栓の性状がなぜ治療の成否に影響するのかは現時点では明らかではないが、血栓の硬さや線溶療法への抵抗性などが関連すると想定される。今後の研究課題として、血栓の硬さや粘調度などの物理学的特性が血栓の性状によってどのように変化するかを検討し、血栓が治療抵抗性を示す機序を明らかにすることで、より有効な再開通療法の開発を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は多施設にて施行する研究である。新型コロナウィルス感染の蔓延のためデータの収集や研究者間の連絡がスムーズに行えず、研究はやや遅れているが、おおむね必要な情報収集・基礎的解析は完了し、すでに学術論文に発表した。 今後はさらなる解析を追加し、これまでの成果を踏まえた発展的研究を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの血栓の性状評価は病理学的なものが殆どであった。我々は血栓の硬さを定量的に測定する装置を導入しており、今後血栓の物理学的特性についても評価を行っていく予定である。また、マイクロCTを用いて血栓の3次元的構造を解析し、病態との関連を明らかにすることを試みる。
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Causes of Carryover |
研究計画では核医学検査の施行を予定していたが、これを実施することが出来なかった。このため、計上していた費用が不要となった。 一方で、これまでの研究により血栓の性状の重要性が強調され、当初の計画よりもより詳細に血栓の性状を検討していく必要があることが判明した。そこで、次年度以降において発展的な研究として使用していく予定である。
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Research Products
(2 results)