2021 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における精神神経系薬の有害作用発現と多剤服用による相互作用の定量的評価
Project/Area Number |
19K20736
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
岡田 章 武蔵野大学, 薬学部, 助教 (50825320)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高齢者薬物治療 / ファーマコメトリクス |
Outline of Annual Research Achievements |
独立行政法人医薬品医療機器総合機構の公開する医薬品副作用データベース等に集積された情報を解析し, 高齢者で特に問題となっている老年症候群の症状を中心とした副作用発現の状況をスクリーニングした. 加齢に伴う発現リスク上昇が顕著であったAEは, 転倒・骨折であり, トリアゾラム (TZR), フルニトラゼパム等において, 加齢に依存した転倒・骨折の発現リスクの上昇傾向が顕著に観察された. 抗うつ薬においてはSSRIおよびSNRIにおいて, 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群の発現リスクが高値を示した. 以上より, 高齢者に対して特に注意すべき代表的な薬物として加齢およびポリファーマシーの観点からTZRを取り上げた. Greenblattらの報告 (NEJM, 1991) よりTZR血中濃度および鎮静・認知機能の推移を抽出し, 鎮静・認知機能の悪化が生じるTZR濃度のカットオフ値を算出した. 得られた情報よりPK/PDモデルを構築し, 高齢者における投与法を検討した. 鎮静および認知機能の悪化が発現する濃度は0.44 µg/mLであった. 血中濃度と鎮静・認知機能の推移を連結させたPK/PDモデルを構築し, 高齢者にTZRを投与した時についての用量設計について検討した. その結果, 30歳に0.250 mg (承認用量) でTRZを投与した時に, 血中濃度が0.44 µg/mLを下回るのに要する時間は5.95時間であり, また, 69歳にTRZを投与した時, 5.95 時間後に血中濃度が 0.44 µg/mLを下回るための投与量は0.156 mgと推定された. さらに, 高齢者にはTRZを0.0625 mgで投与した場合においても, AUCRが2.27以上の薬剤と併用すると, クリアランスが大きく低下し, 翌朝のAE発現リスクが増加する可能性が示唆された.
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