2019 Fiscal Year Research-status Report
股関節離断者のためのオープンソース・ロボット義足の開発
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19K20745
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
植山 祐樹 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 講師 (30710800)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 股義足 / ロボット義足 / 歩容 / 代謝測定 / 関節接触力 / 呼気ガス分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ロボット義足の開発、ならびにロボット義足の普及および推進を目指している。そのための基礎的研究として、ロボット義足の定量的評価、ならびに安価で製作が容易なオープンソース・ロボット義足の設計および開発を目的とする。 令和元年度は、①3Dプリンタによる製作を可能とするロボット義足のオープンソース機の設計、および②前年度に実施したロボット義足の評価実験時のデータ解析を計画していた。 ①では、オープンソース義足のリファレンスとなるロボット義足を試作した。さらに、それを参考にオープンソース義足の設計を行い、実際に3Dプリンタで一部のパーツの製作を行った。しかし、使用している3Dプリンタの造形範囲が不足していることが明らかとなり、すべてのパーツを製作することは困難であった。そのため、今後は、より造形範囲の大きな3Dプリンタを導入し、製作可能性についてさらに検討を行う予定である。 また、②では、モーションキャプチャによる計測データに対して動力学解析を実施した。それにより、動力を有していない通常の義足を使用した際には、義足を使用している反対側の足において、関節間に生じる負荷を意味する関節接触力が、股関節において義足側の足に対して有意に大きくなるのに対し、ロボット義足を使用することで、関節接触力を軽減され、義足側の足と義足を使用していない足の関節接触力の対称性が維持されることが明らかとなった。それにより、義足使用時に生じる身体的負荷を軽減し、健常者と同様な自然な歩容を実現することが可能になると考えられる。さらに、これらの結果をまとめ、国際学術誌に論文として出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、オープンソース義足の設計、および前年度に実施した評価実験のデータ解析を実施する計画であった。しかし、一部のパーツについては3Dプリンタを使用して実際に製作することにも成功しており、これは2年目に実施する予定であった内容である。また、解析した評価実験のデータに基づき、国際学術誌に論文を出版することも実現している。したがって、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めているオープンソース・ロボット義足の設計および製作を引き続き実施するとともに、これまでに試作した義足に対しては、被験者による評価実験を実施する。その際、被験者には呼気ガス分析装置を装着した状態でトレッドミル上を一定時間、一定速度で歩行してもらい、その時の歩行動作を光学式モーションキャプチャで計測することで、エネルギー代謝、歩容、および股関節にかかる負荷、の3点からロボット義足の効果を検証する。その結果から、改善点等をオープンソース義足の設計へと随時フィードバックし、3年目には同様の手順でオープンソース義足の評価を実施する。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた呼吸機能自動解析装置がすでに製造中止となっており、同等の性能を有していると思われる別の製品を購入した。その際の購入金額が当初予定よりも安価であったために次年度使用額が生じた。 また、3Dプリンタを新規に購入する予定はなかったが、所有している既存の3Dプリンタの性能では不十分であることが判明したため、次年度使用額については、必要な性能を有する3Dプリンタを導入するための費用に充てることを予定している。
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Research Products
(1 results)