2019 Fiscal Year Research-status Report
Rehabilitation support system for speech disorder by acoustic analysis
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19K20751
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
八木 直美 姫路獨協大学, 医療保健学部, 准教授 (40731708)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発話障害 / リハビリテーション / 人工知能 / 簡易診断システム |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、発話障害検査は、話しことばを聴収し、その聴覚印象によって行うため、評価は検査者の主観に必然的に依存する。そのため、評価結果に個人差が生じることもあり、経験に基づいた高い専門的能力が求められると共に精度や信頼性の点で検討の余地が残る。本研究では、場所、時間、体位・動作等の制限や拘束が少なく、さらに専門的な技術が不要な、安価で簡便な検査を実現することを目的とする。 健常者、開鼻声、閉鼻声を対象に音響解析を実施した。鼻腔は音声の共鳴器官であり、共鳴がうまくいかないと鼻声となる。開鼻声は、発声中の息が鼻腔に漏れに伴って、閉鼻声は鼻閉に伴って起こるものである。2019年度は、単音データを用いて発話音と発話機能の関係を解明し、発話異常度を定量化することを目的とした。音声特徴量抽出のための原理の確認を行い、正常例と比較して、周波数帯パワー分布の変化等を用いての周期変動指数、振幅変動指数、改良版周期変動指数、振幅変動指数、ジッタ係数、シマ係数、フォルマント分布等の特徴抽出した。 音声変動指数を用いて状態評価を実施することができた。周期変動指数と振幅変動指数との関係からは被験者の状態を区別することが困難であったが、全特徴量8変数(周波数平均Mperiod、振幅平均Mamp、PPQ, APQ, MPPQ, MAPQ, JF, SF)の判別分析を実施することより93.3%の精度で評価可能となった。フォルマント分布も健常者との比較に有用であることが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、非侵襲かつ身体的・心理的ストレスフリーな方法で「意思を伝達する」という発話機能をセンシングして、人工知能を適用した発話障害の簡易診断システムを開発し、その臨床解析結果をフィードバックして、リハビリテーション支援に繋げることである。 正常音声は、基本周波数と倍音成分が高音域まで明瞭に縞状となる。倍音成分が不明瞭になることにより、雑音成分が倍音成分の間に雲状に現れ、基本周波数や倍音成分にゆらぎの発生有無を確認した。各周期における時間のずれを指標化した周期変動指数(PPQ: period perturbation quotient)、同様に振幅のずれを指標化したものを振幅変動指数(APQ: amplitude perturbation quotient)、またこれらの移動平均幅を調整した改良版周期変動指数(MPPQ:modified PPQ)および改良版振幅変動指数(MAPQ:modified APQ)を抽出した。改良版指数は、声の高さの変動等のゆっくり変化する成分(トレンド)の影響を受けにくいとされている。さらに、音声成分の周期および振幅には「ゆらぎ」成分があり、その中でも速い周期ゆらぎをジッタ、速い振幅ゆらぎをシマを示すジッタ係数(JF:jitter factor)、速い振幅ゆらぎを算出したシマ係数(SF:shimmer factor)を検討した。開発環境は、64-bit Windows 10 Intel Core i7パソコン、MATLAB (R2019a, Mathworks, USA) ソフトウエアを使用した。音響解析を用いて特徴値から判別できる可能性を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は以下のように研究を計画する。 生体音響解析によるアルゴリズムを開発し、実装する。 ・正常な音声でも完全に周期的でない、雑音が含まれることを考慮するため、調和成分と雑音成分のエネルギー比(NHR:noise-to-harmonics ratio)、規格化雑音エネルギー(NNE:noise-to-harmonics ratio)等を検討する。 ・さらに、ケプストラム分析を用いて、周期性の情報がピーク出現を観察する
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Causes of Carryover |
今年度は基礎データ解析を重点的に行い、次年度に詳細解析を行うこととしたため次年度使用が生じた。未使用額はその経費に使用を予定している。
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