2016 Fiscal Year Annual Research Report
ALS患者の経口摂取延伸を目指すPAP療法最適期間の解明
Project/Area Number |
16H07002
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平岡 綾 広島大学, 大学病院, 歯科診療医 (60781812)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2019-03-31
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Keywords | 歯学 / 脳神経疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / 舌圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は「研究1:筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の最大舌圧と経口摂取状況の関連を明らかにする」という研究目標を立てた.このため,共同研究を行っている関連病院にて新規の倫理申請を行い,研究開始までに追跡中のALS患者9名を対象として,提出した研究計画・方法に基づき①基本情報(ALS機能評価,BMI,栄養摂取方法,食事形態・食事時間)②口腔機能(口腔内環境,最大舌圧)の評価を行った.また,その9名の対象者の約1年前に取得した同様のデータをカルテから取得し,まとめるとともに,分析を行っている. また,「研究2:舌接触補助床(PAP)装着と経口摂取期間との関連を明らかにする」に対しては来院したALS患者全てにPAPの適応,作製方法等について説明し,治療が行える者,同意の得られた者はPAPを作製した.また,PAPの装着の有無に関わらず,研究計画・方法に基づき①基本情報(ALS機能評価,BMI,栄養摂取方法,食事形態・食事時間,嚥下機能評価)②口腔機能(口腔内環境,最大舌圧)の評価を行った.その後約4ヶ月間隔で嚥下機能評価の依頼が入るため,嚥下機能評価時にその他の評価も継続して行っている. また,本研究を始めるきっかけとなった研究である,ALS患者の最大舌圧と摂食嚥下機能との関係を明らかにし,摂食嚥下機能が低下する最大舌圧のカットオフ値を明らかにした研究を英語にまとめ,現在雑誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究1「ALS患者の最大舌圧と経口摂取状況の関連」に対しては,対象者を30名と目標を立てた.しかしながら,以前の研究から追跡できたのはALS患者9名であった.その理由は他の病院へ転院したのをきっかけに通院が途絶えてしまったもの,あるいは病状の進行のため死亡したなどであった.これは目標人数を大きく下回っている.そのため,今後新たに1年をかけて追跡していく必要がある.現在までに新規の対象者は8名である.申請者の所属する病院はもちろん協力病院には県内外から多くのALS患者が受診しており,嚥下機能評価を目的に歯科への協力依頼も多いため,今後も対象者は追加される予定である. 研究2「舌接触補助床(PAP)の装着が最大舌圧と経口摂取期間に与える影響の解明」に対しては,新規の対象者全てにPAPの適応および作製方法等を説明し,その他の評価も行えており,今後も対象者は増える見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
研究1「ALS患者の最大舌圧と経口摂取状況の関連」では追跡可能であった対象者が当初の計画より少なかった.そのため,当初の計画である後ろ向き調査に加えて今後1年をかけて前向き調査を行っていく計画である.そのために,新規の対象者への説明,同意取得,評価測定および記録の管理を徹底する. また,現在までに追跡可能であった9名の対象者の記録を整理し,最大舌圧と経口摂取しているものの割合を約1年前と現在で比較,検討してみることで,今後の予測を立てる. さらに,共同研究を行っている関連病院に加えて,申請者の所属する病院とその他の関連病院にて新規の倫理申請を行い,複数の病院で対象者を募る予定である. PAPの作製については,申請者の所属する病院では申請者が実施する.協力病院では可能であれば申請者が実施し,難しい場合は当該病院に勤務するPAP作製の経験のある歯科医師が実施する予定である.
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