2019 Fiscal Year Research-status Report
ALS患者の経口摂取延伸を目指すPAP療法最適期間の解明
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19K20753
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平岡 綾 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (60781812)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 最大舌圧 / 筋萎縮性側索硬化症 / 舌接触補助床 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は2016年度に立てた「研究1:筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の最大舌圧と経口摂取状況の関連を明らかにする」という研究目標を引き続き、共同研究を行っている関連病院に通院中の対象者を対象に継続して評価、データの取得を行うと同時に、新規に加わったALS患者も評価、データ取得を行った。その結果、研究期間全体で、継続的にデータ取得できたもの(期間中2回以上、1年程度の経過を評価)が18名、期間中の評価が1回であったものが14名(追跡できなかった者が11名、新規の対象者が3名)の計32名のデータが集まった。そこで、まずは対象者を四肢麻痺発症型と球麻痺発症型に分類し、評価時の最大舌圧と食形態の比較を行うと、四肢麻痺発症型の対象者において、食形態の調整を行っている者(キザミ食、ミキサー食、胃瘻造設等)の最大舌圧は調整を行っていない者の最大舌圧と比較して低値を示した。さらに、全ての対象者の嚥下造影検査のデータから水分摂取時の水の移動時間を口腔期、咽頭期、食道期に分けて時相解析を進めている。 また、「研究2:舌接触補助床(PAP)装着と経口摂取期間との関連を明らかにする」という研究目標に対しては、2019年度に新たに1名の患者に対しPAPを装着、評価、測定をすることができた。昨年度までに3名の対象者にPAPが装着可能であったため、計4名の対象者のデータをまとめ、PAP装着時期の嚥下造影検査のデータから、水分摂取時の水の移動時間を口腔期、咽頭期、食道期に分けて時相解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究1:筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の最大舌圧と経口摂取状況の関連」において、対象者を30名とした。しかしながら、現在までで約1年程度追跡できた対象者は18名であり、目標人数を達成できていない。しかしながら、期間中の評価が1回のみであった者(11名)および新規の対象者(3名)を含めると32名であり、定期的に共同研究を行っている関連病院に通院される患者のため、今後も対象者は追加される予定である。 また、「研究2:舌接触補助床(PAP)装着と経口摂取期間との関連を明らかにする」において、病状の進行程度によるPAPの適応であっても、患者が希望されなかったり、医師から依頼がない場合が多く、対象者が計画通りに集まっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究1:筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の最大舌圧と経口摂取状況の関連」において、当初の計画では期間中の縦断的な結果を用いて検討する予定であったが、追跡が途絶えてしまう対象者や1年以内に死亡される対象者が出てくるため、計画通りにデータが集まらない状況であった。そのため、まずは現在までのデータを用いて横断的に検討する。また、PAPを装着するに至る対象者が少なく、計画していた30名に到達することは不可能であると考えられる。そこで、全ての対象者で同日に嚥下造影検査を実施しており、嚥下機能を詳しく検討できることから、当時の嚥下機能と最大舌圧との比較をすることで、病状の進行のどの時期にPAPを装着するべきであるのか、さらにその時期の最大舌圧はどの程度なのかを明らかにすることができる。その結果を用いて「研究2:舌接触補助床(PAP)装着と経口摂取期間との関連を明らかにする」に対する検討ができると考えられる。
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Causes of Carryover |
本年度に計画通りにデータが集まらず、学会発表や論文発表に至らなかったため次年度使用額が生じた。次年度は残りのデータを収集次第、英語論文作成および学会発表するために使用する予定である。
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