2020 Fiscal Year Annual Research Report
ALS患者の経口摂取延伸を目指すPAP療法最適期間の解明
Project/Area Number |
19K20753
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平岡 綾 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (60781812)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯学 / 舌圧 / ALS / 舌接触補助床 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は「研究1:筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の最大舌圧と経口摂取状況の関連を明らかにする」という目的のため,2019年度からさらに対象者を追加し,最終的に35名(四肢麻痺発症型26名,球麻痺発症型9名)の患者の最大舌圧と経口摂取状況および嚥下動態の関連を明らかにすることができた.その結果,最大舌圧と食形態の関連では,四肢麻痺発症型ALS患者において常食を摂取している者が調整食(キザミ食、ミキサー食、胃瘻造設等)を摂取している者より最大舌圧が高かった.また,最大舌圧と嚥下機能との関連では,四肢麻痺発症型ALS患者において,嚥下回数や一回嚥下後の残留で最大舌圧との関連が認められた.さらに,追跡可能であったALS患者18名(四肢麻痺発症型15名,球麻痺発症型3名)を対象とし,最大舌圧と経口摂取状況および嚥下動態の変化も解析することができた. また、「研究2:舌接触補助床(PAP)装着と経口摂取期間との関連を明らかにする」という研究目標に対しては、2019年度から新たに対象者を5名追加し,最終的に8名の患者にPAPを作製でき.そのうち5名の患者のPAP装着前後の評価が可能であった.3名はPAPを作製したものの,口腔内の違和感が強く慣れることなく使用を中止した.その結果,口腔期の筋力低下を補助するためのPAPを装着することが有効であることが明らかとなり,口腔期へのアプローチが奏功した.このことから,ALS進行の初期は口腔期の筋力低下が主であると考えられ,舌圧値を目安に早期から体重管理を行うことで経口摂取可能な期間を延伸でき,咽頭期の筋力低下や嚥下反射遅延を認める時期がPAPの終了基準となると考えられた.
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