2019 Fiscal Year Research-status Report
看護師によるうつ病患者への認知行動療法の確立に向けて:有効性・費用対効果検証
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19K20754
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
加藤 沙弥佳 宮崎大学, 医学部, 助教 (90598088)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知行動療法 / 行動活性化療法 / うつ病 / 看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、入院中の抑うつ状態にある患者を対象に、看護師が実践する「うつ病患者の回避行動に着目した認知行動療法ショートプログラム」を作成し、試行的に実施した上で量的研究手法を用いてプログラムの見直しを行い洗練化をすることである。 行動活性化療法に特化した全4セッション(1セッション60分)で完結するプログラムを14名(男性3名、女性11名、平均年年齢46.3±15.8歳)に実施し、プログラム開始前とプログラム終了時、プログラム終了1ヶ月後にBDI-Ⅱ、QIDSーJ、PHQ-9、EQ5D-5L、GAFを用いて、評価を実施し、今年度、その内容について統計解析を行った。 プログラム開始前とプログラム終了時の比較では、BDI(26.4±8.8→22.6±11.5)とQIDS(19.2±5.9→15.4±7.2)のみ有意な改善がみられた(それぞれp<0.005,p<0.001)。また、プログラム開始前とプログラム終了1ヶ月後の比較では、QIDS(19.2±5.9→15.7±8.4)で治療前に比べ有意な改善が見られた(p<0.005)。他のアウトカムについては、改善傾向は見られたが、統計的に有意な差は認められなかった。 今回の研究では、対照群の設定がない前後比較試験デザインを採用したため、構造化されたBAとの治療効果についての検討や、治療効果に影響する他の交絡因子について十分検討することができなかったが、本研究の結果から、短期BAプログラムの完遂率は90%以上と高く、入院期間中に実施できる可能性があることが示唆された。 これらの研究結果については、令和元年9月に日本認知療法・認知行動療法・認知行動療法学会にて発表を行った。今後、本研究の結果を論文化するとともに、共同研究者と検討を重ね、入院期間中に実施可能な短期BAプログラムの見直しを行い、プログラムの洗練化を図ることとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は認知行動療法のプログラムを作成し、試行的に実施する予定であったが、研究を進める中で認知行動療法の中でも行動活性化療法に特化して治療を行った場合でも同等の治療効果が見られることが他の研究グループにより発表された。本研究は、より短期間で実施できるショートプログラムを作成することが目的であったため、行動活性化に特化したプログラムに変更する必要があると考え、約1年かけて文献検討を加え、大幅にプログラムの見直しを行ったため、この時点で当初の予定よりやや遅れた。 その後、15名の対象者に対し、個別のプログラムを実施し、データ収集、分析を行い、前年度、研究発表を終えている。今後、研究結果をもとにプログラムの見直しを行い、洗練化していく予定であるが、当初の遅れが現在までに至っている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、学会発表の結果をふまえ、共同研究者間で検討を重ね、プログラムの洗練化を図り、可能であれば、論文化、洗練化したプログラムの実施、検討を行う。
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Causes of Carryover |
個別のプログラムを実施し、データ収集、分析を行い、前年度、研究発表を終えているため、今後、研究結果をもとにプログラムの見直しを行い、洗練化していく予定であったが、当初の遅れが現在までに至っている状況に加え、前年度、COVID-19の感染拡大防止のため、年度末にプログラムの検討のために参加する予定であった研修等に参加することができなかったため。
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