2019 Fiscal Year Research-status Report
広報メディアにみる日本における地域イメージ形成の枠組みー水郷街を事例として
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19K20757
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
香月 歩 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (50805124)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水郷街 / 水空間 / 観光地域のイメージ / 都市のイメージ / 広報メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、河川・水路・湖沼といった水空間を有する街を水郷街と定義し、これらの街の広報メディアから水空間を基軸とした地域イメージの特性を考察することで、現代社会における地域の様々な資源を基軸とした地域イメージ形成のメカニズムの一端を解明することを目的としている。 本年度は、前年度までに行った広報メディアの言語分析および現地調査の結果を取りまとめ、相互に比較し、水郷街における地域イメージ形成のメカニズムとその課題・展望の考察をすすめた。 特に、水空間のもつ歴史性に価値がおかれる事例として島根県松江市、山口県萩市、福島県郡山市を比較すると、これらは水路および疎水を持つ地域であり、これらの水空間が地域特有の歴史(城下町としての歴史や近代における歴史)と結び付けられ、観光的魅力として提示されていた。さらに、これらの水空間は街を線的に巡る要素であることから、地域に点在するそのほかの観光要素とも積極的に結び付けられて提示されていた。現地調査では、特に観光船によって松江城の堀川を巡る体験事業を設けている松江市では、歴史性の有無に関わらず様々な地域の観光要素を観光船により巡ることができ、堀川が重要な基点として機能していることを確認できた。一方郡山市では、市内に残る安積疎水に結び付けられる観光要素は明治維新に関連する施設のみで限定的であることを確認した。 さらに、水郷街の比較対象として、温泉を有する街(以下、温泉街)についての広報メディアの研究を行った。温泉街の広報メディアは特に外国版メディアに特徴的な表現がみられたことから、それらについて、温泉の何に価値がおかれているか、さらに温泉と関連して地域のどのような価値があわせて提示されているかを言語およびメディアの構成から分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現地調査の進捗が遅れており、今年度に実施予定であったが、研究者の都合により実施できなかった。それにより、現地調査を反映しての考察作業についても遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの現地調査を完了させる。対象地は既に選定している。 上記調査結果およびこれまでの分析結果を総合し、水郷街の地域イメージの特性の考察を完了させる。
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Causes of Carryover |
今年度に計画していた現地調査および論文投稿を研究者個人の事情により実施できなかった。そのため、現地調査費および論文投稿費を翌年度分として請求した。
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