2022 Fiscal Year Annual Research Report
広報メディアにみる日本における地域イメージ形成の枠組みー水郷街を事例として
Project/Area Number |
19K20757
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
香月 歩 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (50805124)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水郷街 / 水空間 / 観光地域のイメージ / 都市のイメージ / 広報メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、河川・水路・湖沼といった水空間を有する街を水郷街と定義し、これらの街の広報メディアから水空間を基軸とした地域イメージの特性を考察することで、現代社会における地域の様々な資源を基軸とした地域イメージ形成のメカニズムの一端を解明することを目的としている。本年度は、 前年度までに実施した広報メディアの言語分析の結果を取りまとめるとともに、得られた内容についてその背景を各地域における水環境の地理的特性から考察した。言語分析からは、豊かな自然環境によって育まれる優れた水質の水環境とそこでの生産活動、水辺を中心とした美しい自然の景観とそこでのアクティビティ、都市空間を形成する歴史的基盤としての水環境とそこで培われた地域文化という、水を基軸とした町の価値構造の典型を見出した。さらに対象地に流れる水系ごとの地理的特徴を踏まえて考察した結果、各地域における特徴的な水を基軸とした町の価値の内容として、日本海側では、火山に由来する湧水の水質を活かした農産物の生産活動、および沿岸部の水域とそこに生息する生物の生産や観察に関わる活動、瀬戸内海周辺では、河川上流の渓谷地域における自然景観を巡るアクティビティ、太平洋側では、大都市圏の立地を背景とした多様な活動コンテンツの提示、および大規模河川に由来する町の来歴の提示を、それぞれ位置づけた。この結果は、わが国における水を基軸とした場所のイメージ形成の枠組みが、水の物質性、空間性、意味性という水がもつ異なる価値が、各地域における地質・気候的条件のなかで先鋭化したことを示すものと捉えられる。さらに本年度は代表的事例として滋賀県近江八幡市、北海道京極町、北海道喜茂別町、岐阜県郡上八幡市の現地調査を行い、各地の観光における水資源の活用実態などを把握することができた。
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