2018 Fiscal Year Annual Research Report
ディグナーガ論理学における伝統と革新―『集量論』の他学派批判を中心に
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18H05568
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
渡辺 俊和 國學院大學, 文学部, 助教 (20822159)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | ディグナーガ / ジネーンドラブッディ / 『集量論』 / 『集量論注』 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 平成31年3月19-21日に筑波大学において、ディグナーガの『集量論』第6章およびそれに対するジネーンドラブッディの『集量論注』を対象とした研究会を行なった。その結果、『集量論』のサンスクリット語復元テキストを、〈可得相似〉(upalabdhisama)が説明される第20偈まで見直すことができた。 2. 同3月24日に東京学芸大学において、ディグナーガの『因明正理門論』に対する注釈である沙門宗の『因明正理門論注』に関する研究会を行なった。『因明正理門論注』を前者の議論と合わせて検討することによって、いくつかの過類(jati, 誤った論難/詭弁的論難)について、インドと東アジアでの解釈の違いが明らかになった。 3. 同3月26-29日に筑波大学で開催された国際ワークショップにおいて、作者不詳の『如実論』で過類が論じられる箇所の読解を行なった。これにより、『如実論』からヴァスバンドゥの『論軌』そして『因明正理門論』に至る議論の変化が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
〈相似〉(jati, 「詭弁的論難」)に対するディグナーガの見解を理解するにあたり、『論軌』などのヴァスバンドゥの著作だけでなく、ヴァスバンドゥ以前の伝統を再検討する必要が生じ、この点について検討を進めたため。 また、所属機関の変更に伴って、研究環境を整備する必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 『集量論』および『集量論注』第3-4章の他学派批判についてまとめる。その結果を国内誌へ投稿し、またそれを基に2020年8月末に韓国で開催される国際学会での発表原稿を作成する。 2. 6月28日-7月2日にLeipzig大学で開催される国際ワークショップに参加し、校訂テキストなどについて諸氏と意見交換をし、出版の準備を行う。 3. 論駁についてのディグナーガの見解を、ナーガールジュナに帰せられる著作でのそれと比較する。
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