2018 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者における関係代名詞の習得に関する研究
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18H05581
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 有加 広島大学, 外国語教育研究センター, 助教 (60825222)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 関係代名詞 / 学習者コーパス / CEFR / 基準特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、各コーパスデータから関係代名詞を含む文の抽出と整備、及びデータ収集を中心に行った。 まず、1) 中学・高校の英語教科書コーパス、2) 大学生の書き言葉及び話し言葉コーパスである The ICNALE (The International Corpus Network of Asian Learners of English)から関係代名詞を含む文を抽出し、各例文に、表層形 (that, which, who, whose, whom)に加え、第二言語習得論における習得順序を示した仮説である Noun Phrase Accessibility Hierarchy Hypothesis (NPAH: Keenan & Comrie, 1977) 及び SO Hierarchy Hypothesis (SOHH: Hamilton, 1994)による分類を用い、手作業で情報を付与した。 省略された関係代名詞に関しては、1) 中学・高校の教科書コーパス、2) 大学生の書き言葉及び話し言葉コーパス(ICNALE)、英語母語話者のデータである British National Corpus のサブコーパスである BNC Babyの書き言葉及び話し言葉データを Stanford Parserを用いて構文解析し、省略されている関係代名詞を抽出した。 関係代名詞の回避に関わるデータに関しては高橋 (2017)の3つのタスクを用い、上級レベル (B2, C1)のデータを補填すべく新たに13名の作文データを収集した。 今後はこれらの情報を元に日本人英語学習者のCEFRレベル別の使用傾向を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、計画通り、1) 中高の教科書コーパス、2) 日本人英語学習者コーパス、3) 英語母語話者コーパスからの関係代名詞の抽出、構造に関するタグ付け、関係代名詞の省略箇所の抽出に加え、上級者の作文データ収集を行うことができた。今後はタグの信頼性を確保した上でこれらの情報を統計的に分析し考察する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては大きく3つある。 1つ目は、エラー分析を行うために大学生の学習者データに関して関係詞のエラー情報を複数名で付与する。Takahashi (2018)で明らかにされた中高生の書き言葉及び話し言葉における分析結果と、今回分析している大学生のデータ(The ICNALE)をつなぎ合わせることで、CEFRレベルが上がるにつれてエラーの頻度がどのように推移しているか考察する。 2つ目に、Stanford Parserで解析して抽出した英語母語話者・教科書・大学生のデータの省略箇所を集計する。関係代名詞の回避に関しては、関係代名詞及びその他の後置修飾がどの程度使われているかをこれまでに収集した日本人英語学習者の作文データから抽出する。 3つ目に、学習者の使用頻度と教科書内での出現頻度を照らし合わせ、インプットとアウトプットとしてどのような関係節が使われているかを集計した上で考察する。 これらにより、日本人英語学習者の関係代名詞のCEFRレベル別使用傾向を把握する。
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