2018 Fiscal Year Annual Research Report
Improvisational interaction that incorporates aesthetic distance to inspire production of creative discourse: application of improvisational drama
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18H05584
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
三野宮 春子 大東文化大学, 文学部, 特任准教授 (90632406)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 審美的距離 / 創造 / アクティビティ / 英語教育 / 談話分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の成果は、大きく分けると2つ挙げられる。1つは、当該期間より以前に収集していたデータをもとに、外国語学習における即興というテーマに接近し、「即興的発表型と即興的やりとり型のアクティビティ―問題解決ゲームSOLVERSの開発とコミュニケーション分析―」関西英語教育学会紀要第41号、「即興、すなわち、意味と表現の共時的創造-インプロを応用した模擬ワークショップ―」関西英語教育学会紀要第42号を発表した。もう1つは、アクティビティ開発・活用における教育実践者の決断形成に焦点を当てた、東京大学学校教育高度化・効果実証センター若手研究者育成プロジェクトのワーキングペーパー「実践者と研究者の協働による教材開発場面で活用されるエビデンスやリソース」である。いずれの研究でも「審美的距離」を中心に据えた議論には至っていないが、創造的言語使用過程を詳細に記述して重要な要素を抽出したり、その過程を見取る指導者の力量や態度を考察することにより、重要な手がかりを得ることができた。 進行中のものとしては、2019年度中に演劇実践者2名の協力のもと「審美的距離」と「創造」のためのワークショップを英語で開催し、その映像観察に基づくインタビューを実施して収集したデータがあり、現在はその分析を継続している。また、2015年度、2017年度に開催していた有志によるワークショップ型勉強会「英語アクティビティ工房」をした。これまで開発してきた教材を教育現場等で活用してもらえるよう、印刷・配布を行う段取りも進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の鍵である「審美的距離」や「創造性」は、複雑で状況依存的性質のもので、一義的に理解されたり定義を固定されたりすると却って捉えにくくなる性質のものである。それらは主観、間主観に立ち現れるもので、介入による結果を数値化して比較するような英語教育研究において今日主流の方法は不適であろう。2018年度は、教育学が生産すべきエビデンスとは何かということを教育実践者の視点に立って考査する過程で、主観-客観の扱い方について手掛かりをつかむことができた。この理解は、今後もっと直接的に「審美的距離」や「創造性」に接近するにあたり、研究方法を選択する根拠となるであろう。 また、収集済みのデータの分析に現在取り組んでいる最中の研究もあり、2019年度も途切れることなく研究活動は継続する見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、データ分析を進め、学会発表や論文発表を行う。現時点では、国際学会 The World Education Research Association (2019年8月5-8日、東京大学・学習院大学)における To counterbalance training-oriented foreign language education: What do creativity and aesthetic distance look like? の発表を予定している(査読あり)。この他にも2本ほど学会で発表し、そこで得られたフィードバックを生かしながら、論文執筆に取り組みたい。 2015年度、2017年度に開催していた有志によるワークショップ型勉強会「英語アクティビティ工房」を、2019年度も定期的に開催してゆく。また、これまで開発してきた教材を教育現場等で活用してもらえるよう、印刷・配布を行う予定である。将来的には、自作アクティビティを取りまとめたいと考えている。このような情報は、ウェブページ(https://kekekepa.wixsite.com/activity-studio)で発信してゆく予定である。 本研究の最終段階には、引き続き演劇の技法を応用した英語教育の可能性を探究する過程で、本研究を発展継承するような次の研究課題を発見する。
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