2018 Fiscal Year Annual Research Report
The genealogy of Awaji dialects and the reconsideration of the classification of Western Japanese dialects
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18H05593
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
中澤 光平 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変異研究領域, プロジェクト非常勤研究員 (90824805)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 近畿方言 / 中国方言 / 四国方言 / 方言区画論 / 方言系統論 / アクセント |
Outline of Annual Research Achievements |
西日本諸方言の方言区画の再検討および淡路方言の系統的位置づけの解明のため、西日本各地での方言調査を行った。調査地点は、これまで継続的に調査を行ってきた兵庫県淡路島、岡山県備前市、瀬戸内市、高知県南国市、京都府京都市に加え、当該年度は新たに和歌山県田辺市、広島県呉市、竹原市、尾道市、滋賀県長浜市で調査を行うことができた。調査内容は語彙、アクセント、活用など約2000項目である。 今年度の調査結果から、次のようなことが明らかになった。広島県東部のうち備後地域にある尾道市のみならず、安芸地域に含まれる竹原市、呉市においても、岡山県備前市や瀬戸内市に観察されるものと類似のアクセントの特徴が見られ、当初予想していたよりも両方言群の区画が西寄りである可能性が出てきた。また、備前市ではこの地に特徴的な2拍名詞の1/245/3という類の統合(日生式)のアクセント調査を、複合語と活用を中心に行い、近隣の瀬戸内市と比較した。高知県南国市では、これまでに確認できた破裂音的なツ[tu]に加え、読み上げ調査で見落としていた四つ仮名の区別の残存が確認できた。 和歌山県田辺市では、低起式の早上がりなどすでに報告のある特徴に加え、母音の無声化などの条件が京都市や淡路島と著しく異なることを確認した。また、動詞の二段活用の残存とともに終止形のアクセントが2種類あることがわかった。兵庫県淡路島では、倒置によるイントネーションとアクセントの関係が北部・中部・南部で異なることが分かった。滋賀県長浜市では、近畿的なアクセントの他に、中部的なアクセントもかなり聞かれることが分かった。 以上が今年度の研究実績である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に予定していた話者への調査が行えなかったなどの影響はあったものの、近畿・中国・四国各地で方言調査を実施できたため、方言区画や淡路方言の系統に関する研究成果発表として口頭発表も複数行い、おおむね順調に進展していると言える。また、本研究課題に直接関わるわけではないものの、複数の調査地点で新たな発見があり、研究を今後発展させられる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査の遅れから、調査地域の範囲については、当初予定していたものよりだいぶ狭い範囲にとどまっているため、今後は予定を立て直し、地点数を多少減らしてでも広範な地域でデータを収集し、方言区画などの仮説の検証が行えるようにする。少なくとも、西日本の各都道府県で1地点以上の調査データを収集することを目標とする。
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