2019 Fiscal Year Annual Research Report
消滅の危機に瀕した琉球諸語のモダリティ記述に関する基礎的研究
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19K20817
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
崎原 正志 沖縄工業高等専門学校, 総合科学科, 講師 (30828611)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | モダリティ / 琉球諸語 / 沖縄語 / 国頭語 / 本部町方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、沖縄県首里方言の包括的なモダリティ研究の分析結果に基づき、他の琉球諸語にも応用可能なモダリティ調査票を作成するための基礎的な研究を実施することを目的として、平成31年および令和元年度は下記の内容で研究を行った。 1.【具体的な内容】沖縄語に属する「宜野湾市宜野湾方言」、国頭語に属する「本部町山里方言」の2地点を中心に面接調査を毎月1回以上実施し、調査票を用いてデータ収集を集中的に行った(今帰仁村謝名方言に関しては話者の都合上未調査)。実施した調査では、名詞・形容詞・動詞述語文を網羅的に収集し、「表出法」を用いた文、「前提・注目・思い出させる・気づかせる」という文、「終助辞」を用いた文についてもデータを収集した。収集データはすべて整理し、データベース化した。1月に沖縄言語研究センター定例研究会で「本部町山里方言」について研究成果の報告を行なった。 2.【研究成果】モダリティに関する発見は少なかったが、本部町山里方言の調査において次のa~dの4点が明らかになった。a.長母音と短母音の音韻的区別はあるが、文環境によっては音声学的に長母音が短く発音されることがある。b.3モーラ語では、長音やはねる音はひとまとまりとして発音され、アクセントの境目が生じない。c.中央内陸部の方言と海岸部(都市部)の方言の両方の音韻的かつ語彙的な特徴を併せ持っている。d.文末形式よりも条件形や中止形に特徴的な形がよりみられた。 3.【意義・重要性】沖縄・国頭両語で試験的に作成したモダリティ調査票が、他の琉球諸語で応用できるか今後調査することで、モダリティ調査票の完成を目指す。そのことで今後の琉球諸語のモダリティ研究に一助できる。また、本部町山里方言に関しては、沖縄語の諸方言とは明らかに違った音韻的・形態的特徴がみられたため、今後研究を深めていくことで、国頭語の音韻論的・形態論的研究に寄与する。
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Research Products
(3 results)