2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H05622
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 充弘 神戸大学, 人文学研究科, 学術研究員 (10824518)
|
Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
|
Keywords | 在郷町 / 平野郷町 / 古河藩 / 大坂城代 / 天保期 / 安政期 / 碑文史料 / 浄瑠璃作品 |
Outline of Annual Research Achievements |
一年目にあたる2018年度は、考察に必要な史料の収集に重点を置いた。具体的には、茨城県立歴史館における古河藩関係史料(マイクロフィルムからの紙焼き冊子)、および大阪大学文学部日本史学研究室所蔵の含翠堂(土橋)文庫の調査や、台風21号による被災家屋(大阪市平野区Y家)から搬出した史料の整理・分析をおこなった。収集史料の翻刻に関しては、含翠堂(土橋)文庫に含まれる「天保5年日録」(D16)の全文、および杭全神社文書「覚帳」第101冊(天保4年)を半分程度完了することができた。なお、後者については学生アルバイトによる入力の補助を得た。今後は、残りの1年間をかけて含翠堂(土橋)文庫に含まれる残り2冊の「日録」(文政10年、同11年)と、関連する年代の「覚帳」の翻刻・分析を継続する予定である。 また、古河藩主の大坂城代期(天保5年~同8年)における平野郷町をはじめとした上方所領の負担の問題と、安政期の郷町改革について、それぞれ学内外の研究会で研究報告をおこなった(これらは学会発表ではないので、「研究成果」には含めていない)。 さらに、新出のY家被災史料に関しては、郷土史研究団体の「平野歴史民俗研究会」、および歴史資料ネットワーク(史料ネット)の協力も得ながら整理を進めており、経過や特記すべき史料については随時報告をおこなっている。 この他、平野歴史民俗研究会の活動を通じて、本研究課題に関連する「鐘辻の碑」の解読をおこない、文献史料以外の歴史資料について知見を深めることができた。その成果については、『考古学ジャーナル』に掲載していただくことができた。 なお本研究課題を遂行していく上での副産物として、平野郷町に所在する融通念仏宗総本山大念佛寺を題材とした浄瑠璃作品『融通大念佛』を新たに発見した。これについては、藝能史研究會で研究報告する機会を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目は補助金の交付決定から半年強での研究課題遂行となったが、今後の分析を進めていくための史料調査・収集は概ね予定通りおこなうことができた。研究成果に結びついたものは少ないが、申請時に想定していなかった新出史料の発見や碑文史料の解読、文芸作品の分析など、方向性の発展があったことから上記の評価とする。
|
Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」において述べた通り、含翠堂(土橋)文庫と杭全神社文書「覚帳」の主要なものについて、全文翻刻を念頭に作業を継続する。また、二年目が最終年度にあたるため、これまで収集した史料の分析と研究報告の結果を踏まえて、論文等の形で考察を体系化することを目指していく。
|
Research Products
(7 results)