2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K20828
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 充弘 神戸大学, 人文学研究科, 学術研究員 (10824518)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 在郷町 / 平野郷町 / 古河藩 / 大坂城代 / 上知令 / 天保期 / 地域史 |
Outline of Annual Research Achievements |
二年目にあたる2019年度は、学会等での研究発表を通じて研究内容を深めるとともに、成果の取りまとめに取り組んだ。 学会等での研究発表という点では、2020年1月に大塩事件研究会で研究発表する機会をいただき、天保期に大坂城代を務めた古河藩主の活動実態と、これを支えた上方所領という観点から、平野郷町の新たな歴史的位置づけを考察しようと試みた。これについては、大阪市平野区役所で2020年2月におこなわれた講演会でも、市民向けに発表する機会をいただくことができた。 また、2019年10月、特別推進研究「地域歴史資料学を機軸とした災害列島における地域存続のための地域歴史文化の創成」により海外でおこなわれた日本・ルーヴァン大学ワークショップ(2019年10月)に参加し発表する機会も得ることができた。 研究成果の取りまとめという点では、天保14年(1843)に公布・撤回された上知令について、古河藩領の平野郷町からみた歴史的意義について考察し、論考化を図った。加えて、前年度より取り組んでいる大阪市平野区におけるY家文書の整理や杭全神社文書「覚帳」、含翠堂(土橋)文庫「日録」の翻刻についても、継続して進めることができた。 なお、研究課題に関わる副次的な成果として、平野郷町の郷学「含翠堂」に関わる漢詩についての考察を史料紹介として発表することができた。また、2019年7月に実施された歴史資料ネットワークのシンポジウムにおいて、大阪市平野区における史料保全活動についての紹介をコメントという形で報告させていただく機会を得た。さらに、藩政と地域運営との関わりという視角から、兵庫県神戸市や同丹波篠山市での史料調査を報告書や一般向け書籍としてまとめる経験もできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の論考化はなお途上であるものの、史料調査や学会参加の状況は概ね期待通りに進んでいる。当初想定した計画のほか、神戸市や丹波篠山市における歴史文化事業から、藩と地域の関わりという視角による成果が得られるなど、分析対象に広がりがみられつつある。 ただ、2020年6月に予定されている大阪歴史学会大会において、これまでの成果を総括する機会を得たため、補助事業期間の延長が必要と判断した(2020年5月現在、当該大会は中止と決定)。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、天保改革期に老中として幕政に参与した藩とその上方所領から、当該期の歴史的位置づけについて考察する作業を継続する。上知令についての論考を今一度手直しするとともに、古河藩主が大坂城代であった時期における上方所領の位置づけについても考えていく。その際、安政期の藩政や地域運営の状況についても比較しながら評価していきたい。 実践的活動として、大阪市平野区での取り組みや兵庫県下の他市町村における歴史文化事業の取り組みも継続していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究課題の遂行に際し、古河藩主が大坂城代期に就任する天保期に、平野郷町をはじめとした上方所領が果たした機能や役割を追究し、2020年1月の大塩事件研究会で発表した。この分析をもとに、前後の文政期や維新期における藩と郷町の関係を検討する必要性を感じていたところ、2020年6月に予定されている大阪歴史学会大会において、その成果を報告する運びとなった。以上のことから、補助事業期間の延長が必要と判断した。
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Research Products
(11 results)