2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K20828
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 充弘 神戸大学, 人文学研究科, 特命助教 (10824518)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 平野郷町 / 在郷町 / 惣会所 / 古河藩 / 譜代藩政 / 地域歴史資料 / 大坂周辺地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は最終年度にあたるため、総括と今後の展開にむけた研究期間内の成果を集約することに注力した。そこで、平野郷町における自治機構の推移を本研究課題のテーマともなっている天保から安政期(1830~60)にかけての社会的変動のなかに位置づけるため、基礎的な史料の取りまとめと成果発表に取り組んだ。具体的には、2022年10月に開催された奈良歴史研究会10月例会での研究報告「安政期畿内在郷町の行財政改革―摂津国平野郷町を事例に―」と、2023年3月発行の神戸大学文学部『紀要』に発表した「安政期の平野郷町改革関連史料」が挙げられる。平野郷町では安政2~5年(1855~57)に郷町運営の体制や、領主である古河藩との関わりを含めた財政運営のあり方が集中的に改編され、最終的には地押と呼ばれる耕地の再検へと結びつく。この地押をはじめ十分に検討を深め切れなかった点があり論文化には至らなかったが、安政期の平野郷町改革を歴史的に位置づけるための最低限の基礎的作業はほぼ遂行できたと考えている。 さらに研究期間の締め括りにあたり、この間に手掛けた平野郷町に関わる新出史料の整理状況を報告書の形でまとめることとした。対象としたのは大阪市史編纂所によって1983年・1986年の二次にわたる調査がおこなわれた摂津国住吉郡平野郷町の辻葩家文書である。この文書群では、平野郷町および同郷町に居住した門閥住民・七名家の由緒に関わる史料をはじめ、在郷町運営の状況を示す史料が1000点近く新出した。本研究期間も含めて整理を進めていたが、新出史料目録に適宜翻刻を加えて、2023年3月に報告書として印刷・製本するに至った。 また、当初設定した分析対象にとどまらず、広く大坂周辺地域の地域歴史資料調査と研究成果発表ができたことは大きな収穫であったが、それらを総合して近世史研究として深めていくことは今後の課題である。
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Research Products
(8 results)