2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H05624
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ashikaga University |
Principal Investigator |
茂木 謙之介 足利大学, 工学部, 講師 (00825549)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 皇族 / 皇室 / 天皇 / 地域社会 / メディア / 改元 / 島嶼部 / 怪異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は方法として戦中および戦後メディアにおける皇族イメージを中心とした言説分析、地方行政機関が作成保存した公文書等の史料の分析、皇族顕彰団体および皇族との関わりをもった人物へのインタビューの三つを採用しており、本年度はそのうち戦中・戦後の皇族イメージに関連した史料調査および公文書史料の調査を中心的に行った。 まず、メディア分析としては昭和期の雑誌メディアの検討と、令和改元に先駆けて展開していた諸表象について史料収集を行い、研究分析の対象とした。まず、昭和期の雑誌メディアとしては嘗て皇族イメージを大量に展開していた雑誌『婦女界』について集中的に分析を行い、昭和改元に前後して良子女王(皇太子妃、のちの香淳皇后)を中心として皇族女子の表象がいかなる形で展開していたのかを分析した。この成果については、日本近代文学会秋季大会でのパネル報告(於岩手県立大学、2018年10月28日)で口頭報告し、その後コメント等を踏まえ「改元の暴くもの―大正末~昭和初期における女性皇族の表象をめぐって―」として論文化した(『足利大学研究集録』(54)、2019年3月)。また令和改元に先立って、秋篠宮文仁親王の発言や秋篠宮家の婚姻をめぐるメディア報道、天皇誕生日のコメント、即位30周年の記念式典等における諸表象について記録し、分析を行った。これらは令和元年度に成果として発表予定である。 次に地方行政機関が作成保存した公文書等の史料の分析については、長崎県、沖縄県に史料調査を行い、天皇・皇族の訪問に関連する史料を収集した。 そして、本研究の方法・視角について再検討を行い、その一端は「「僻地」・「周縁」から裏返す――島と天皇と幽霊」(『ユリイカ』2018年8月号)として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前述のように史料調査及び成果報告が早期に進捗しつつあり、同時に改元に伴ってこれまでの予定以上に研究蓄積が進んでいる現状があるため、予測を超えて研究内容を充実させることが可能となった。今後の展開についても期待できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和への改元を迎え、マス・メディアやSNSでは大量の天皇・皇族・皇室表象が展開しており、これ等は現代を見据えた研究資料として改めて考える必要が生まれている。特にWeb関連の言説は時間の経過に伴い、消失してしまう可能性があり、それらの積極的な記録保存は急務と考えられる。これについてはこれまでの研究計画にはないものだが、喫緊のものと考えられるため、計画に追加し、定期的なWeb検索、資料収集につとめ、可能な限りデジタルとアナログでの保存を心掛け、アーカイブス化することを目指したい。
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