2018 Fiscal Year Annual Research Report
昭和期日本における民衆の中国観(対中国感情)の検討
Project/Area Number |
18H05629
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Doho University |
Principal Investigator |
金山 泰志 同朋大学, 文学部, 講師(移行) (40827482)
|
Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
|
Keywords | 中国観 / 中国認識 / 昭和 / 日中関係 / メディア / 少年倶楽部 / キング / 雑誌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、昭和期日本における民衆の中国観を、当時のメディア史料などを素材に、感情レベルで分析することである。 近代日本の中国観研究には豊富な研究蓄積があるが、その検討の対象は徳富蘇峰や福沢諭吉などに代表される特定の個人・知識人にとどまり、日本民衆の一般的な中国観に関する実証的研究は少ない。これは本研究が対象とする昭和期日本の中国観研究においても同様である。知識人層の検討から明らかとなるのは、彼らの現実の対中政策を念頭に置いた体系的・理論的中国論・中国認識であり、現在の世論調査から読み取れるような感情レベルの中国観ではない。では、近代日本における一般的な中国観(感情レベル)をどのようにして検討するのか。注目すべきは、近代以降に著しい発展を見せる「メディア」の存在である。一般的な中国観という漠然かつ広域な対象を検討する上で、不特定多数の受け手を想定しているメディアを使用することは合理的である。昭和期においても、当時を代表するメディアを使用することで、当時の中国観の反映をメディアから読み取ることが可能となる。 2018年度は、少年雑誌『少年倶楽部』からの検討と、総合雑誌『キング』からの検討を行った。前者は「一九三〇年代の『少年倶楽部』に見る日本の中国観」(『メディア史研究』45号、2019年3月)、後者は「昭和期の雑誌『キング』に見る日本の中国観」(『同朋大学論叢 』104号、2019年3月)として成果を発表することができた。。 以上の史料を使用した昭和期日本の中国観研究はなく、実証的裏付けとともに、当時の一般的な日本人の中国観を明らかにすることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果も2018年度中に活字化できたため、順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、昭和期日本の民衆の中国観を、当時隆盛を誇っていたメディアに着目して検討していく。 具体的には、まだ検討を行えていない「映画」や「教育」からの検討である。映画では『キネマ旬報』などの映画雑誌、教育では『教育時論』などの有名雑誌が存在している。それら史料の収集、及び中国関係映画・中国関係教材の抽出・分析を行うことで、昭和期日本において「中国がどのように描かれていたのか」「中国がどのように教えられていたのか」を明らかにすることができる。その中国描写や中国教育は、当時の一般民衆の中国観の反映として捉えることができる。
|