2019 Fiscal Year Annual Research Report
Earthquakes and the Durability of Pyramids in Ancient Mexico: Examining the Strength of Construction Materials and Techniques
Project/Area Number |
19K20837
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
ロペス フリエタ 京都外国語大学, 京都外国語大学ラテンアメリカ研究所, 客員研究員 (80830067)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メソアメリカ / 世界観 / ピラミッド / 耐震性 / 耐久性 / トラランカレカ / 考古科学分析 / 建築資材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、巨大ピラミッドを建造し得た古代メソアメリカ文明の建築技術力とその発展過程を解明することにある。現在までピラミッドに関する研究は、その機能や帰属時期の推測、建築様式の特徴と変化、建築資材の同定、必要労働力の推定、建築作業過程の復元に主眼が置かれていた。一方、ピラミッド建造物の耐久・耐震設計に関する研究は、現在まで実施されてこなかったと言っても過言ではない。メキシコ中央高原におけるピラミッド型建造物の古典期(後200~600年)からの巨大化は、政治・経済発展に支えられた大量の労働力と建築材の獲得が要因となり、達成可能になったとの考えが主流であった。 研究の目的を遂行するため、まずトラランカレカ遺跡(前800~後300年)の領域Hに存在する大基壇Hで、2020年7月から9月までの間、発掘調査を実施した。この大基壇は少なくとも5期の増改築が行われており、II期とIII期の形状が大きく異なっていたことが分かった。また、科学分析(熱重量分析:TGA)によって建築資材の強度に改良があったことが認められた。さらに、先行研究の精査やC14年代測定法によって、この改良は、メキシコ中央高原の形成期社会を解体へと導いたポポカテペトル火山の噴火(後70年頃)と関連することが分かってきた。 モニュメント建造物は、天上界・地上界・地下界を繋ぐ「聖なる山」のレプリカとして機能しており、この崩落は社会秩序の崩壊に至ると考えられていた。恐らく、噴火によるピラミッドの崩落を防ぐ目的を持ち、より強度の高い建造物の設計に向け、試行錯誤の上、品種改良が行われていたと考えられる。
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