2022 Fiscal Year Annual Research Report
ユネスコ無形文化遺産の代表一覧表記載が山・鉾・屋台行事の保存・継承に与えた影響
Project/Area Number |
19K20846
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Research Institution | Ibaraki Christian University |
Principal Investigator |
清水 博之 茨城キリスト教大学, 文学部, 准教授 (70822732)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユネスコ無形文化遺産 / 山・鉾・屋台行事 / 全国山・鉾・屋台保存連合会 / 加勢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、山・鉾・屋台行事の保存・継承の現状と課題を確認し、その要因を明らかにして解決へ向けての提言をすることである。最終年度である本年度は、コロナ禍の合間を縫うように各地で規模を縮小しながらも祭礼行事が徐々に執り行われるようになってきた。現地における観察や聞き書きの調査を進めつつ、このパンデミックが祭り・行事の継承に及ぼす影響を考究することができた。 愛知県半田市で開催された全国山・鉾・屋台保存連合会総会に出席し、全国各地の保存会と文化財保護行政担当者から情報を得るとともに特別公開された亀崎潮干祭において山・鉾・屋台行事の保存・継承に関する知見を深めることができた。 一方では、全国山・鉾・屋台保存連合会の会員団体(保存会等)とそれらが継承されている県・市の文化財保護行政担当課に対してアンケート調査を実施した。その結果は、報告書にまとめ関係団体等へ配布して、山・鉾・屋台行事の保存・継承に資すことができた。 また、茨城キリスト教大学においてシンポジウム「ユネスコ無形文化遺産 山・鉾・屋台行事の保存・継承-学生が見て聞いたとやまのまつり-」をオンラインで開催した。学生が現地調査の結果を発表し、各地の文化財保護行政担当者がコメントする形式であるが活発な議論を交わすことができた。参加者からは伝統の継承には若者のチカラが必要であるとの意見が寄せられた。 本研究を通して、山・鉾・屋台行事は無形の民俗文化財として時代と共に人々の要望にあわせて変容するものであることを再確認することができた。さらには、その変容の中にあっても変わらないもの変えてはならないものがあることも確認できた。後継者不足は、たんなる少子高齢化だけによるものではなく、祭りそのものの現代的な魅力の確保こそが肝要であることがわかった。 最後に、現代的課題として祭りへの女性の参加と在留外国人の加勢が浮かび上がってきた。
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