2019 Fiscal Year Annual Research Report
行政組織上の契約及び委託契約の構造化――日独比較法研究を中心として
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19K20852
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 崇弘 京都大学, 法学研究科, 特定助教 (30825683)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 行政契約 / 公私協働 / 委託 / 行政法上の一般原則 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本でも頻繁に用いられているにもかかわらずあまり研究が行われていない委託契約に焦点を当て、委託の際には行政主体はどのような契約を締結しなければならないかについて、行政契約法・行政組織法の観点から研究を推進した。 最終年度においては、下水道事業における委託行政契約の研究を進め、その成果として、委託の際には行政主体自身に任務を履行する義務は残されているため、行政は当該義務を履行したと言えるたような契約を締結しなければならず、ここから行政には「業務内容に即した委託者・受託者の権利・義務、責任分配、委託料、解除」を大枠とした契約を締結する義務があることを明らかにした。右の大枠は、水道事業における委託とも共通性を有していることから、一定期間続く委託契約は右の大枠を備えなければならない、ということも本研究の結果明らかになった。 又、行政目的実現の手段として用いられる委託契約の機能、すなわち、行政は、法律によって課された任務(履行義務)を自らに残しつつ、任務の遂行を(行政の外部に位置する)私人又は他の行政主体に(再)配分する機能を有していることを改めて確認した。ここにおいては、私人はあくまでも独立した法主体であることから、委託は行政内部での任務分配とは異なった観点から検討を進めていく必要性を明らかにした(これは今後の課題でもある)。 また、前年度の研究から、委託契約を委託者・受託者ではない第三者が裁判において内容統制するための足がかりとして、契約内容が行政法上の一般原則(比例原則、平等原則、適正手続など)に反していないかという点が重要であることを明らかにした。 以上の研究を進めた結果、行政契約法、中でも委託行政契約及び行政法上の一般原則による行政契約の統制という論点について一定の成果を挙げられたと考えられる。
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Research Products
(3 results)