2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K20855
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲谷 信行 京都大学, 法学研究科, 特定助教 (10824279)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 管理職労働者 / ドイツ労働法 / 解雇制限法 / 事業所組織法 / 管理職代表委員会法 / 業務執行者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も、引き続き、ドイツ法における管理職労働者に関する法的規律について、文献収集及び調査を行った。前年度は、解雇制限法及び事業所組織法・管理職代表委員会法における、管理職員の法律上の取扱いの内容を検討することに重点を置いて調査を行っていたが、本年度は、解雇の正当化事由との関係で、管理職労働者がどのような規律を受けるかという観点から、裁判例の調査・検討を行った。これは、管理職労働者に関する解雇規制の全体像を明らかにするためには、法律上規定された特別規制を検討するだけでなく、解雇規制の根幹である正当化事由との関係を検討することが不可欠だからである。裁判例では、管理職労働者にも、一般労働者と同様の正当化事由の判断枠組みが妥当するものとされており、その上で、管理職であるという事情が、正当化事由の存在を肯定する方向の事情として考慮されていたということができる。 また本年度は、検討の対象を拡大し、ドイツの有限会社法上の業務執行者に関する解雇規制についての文献収集・調査も行った。連邦労働裁判所の判例によれば、有限会社法上の業務執行者は、原則として「労働者」ではないものの、例外的に労働者性が肯定されることもありうるとされており、その場合には、管理職労働者の状況に近接することになる。しかし、解雇制限法は、労働者性の有無にかかわりなく、業務執行者を適用除外としており、管理職労働者とは異なる規律がなされている。業務執行者に関する解雇規制について引き続き調査を行う予定である。 2019年7月に関西労働法研究会において、同年10月に日本労働法学会において、本件研究テーマに関する報告を行った。ここでの議論も踏まえ、論文として公表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画を変更し、ドイツ有限会社法上の業務執行者に関する問題も検討対象に含めたため、ドイツ法の判例・ 議論に関する調査・検討に想定よりも時間を要することとなったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も、引き続きドイツ法の調査・分析を行う。特に、業務執行者に関する規制については、ドイツにおいて新たな動きがあるところであり、この点について検討を行う予定である。また、併せて日本法における調査も行う。
|
Causes of Carryover |
購入を予定していた書籍の発売が次年度にずれたため。未使用額は書籍の購入に使用する。
|
Research Products
(2 results)