2018 Fiscal Year Annual Research Report
嫌疑に基づかない行政調査の許容性:調査の必要性,調査の強度,裁量統制
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18H05653
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中尾 祐人 神戸大学, 法学研究科, 助教 (00825771)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 行政調査 / 行政法 / 比例原則 / 相当の理由 / 外国情報監視法 / 修正4条 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,具体的嫌疑に基づかない行政調査に対する比例原則の適用の際の具体的な下位基準を定立することによって,個人のプライバシーに十分な配慮が保障されるとともに,行政に対して予測可能性を提供することで行政活動に必要十分な調査を行うインフラを整備することである。本研究は,当該目的達成のため、米国における嫌疑に基づかない行政調査に関する連邦最高裁判決および学説,実務上の運用を検討する。 平成30度においては,①米国法理であるadministrative searchをめぐる判例・学説,②外国情報監視法(FISA)の制定過程およびその濫用事例,を検討した。①については現在通用している司法審査基準に対し,政府目的と被侵害利益とを単純に比較衡量するにすぎず常に行政調査を適法であると結論づけてしまうという批判も出ていることにも鑑み,特に議論が精緻であったと見られる1980年代以前のadministrative searchの法理にも着目して総合的に検討した。②についてはまずFISAが定める要件の内容及び趣旨を確認し,続いてそれがどのように濫用されたかについて具体的な事件を参照し検討を行った。次年度には犯罪捜査に対する法的規律との比較,我が国の法理との比較を行う予定であるが,本年度の研究によって当該研究を進めるための基礎を固めることができた。 以上の研究成果は複数の研究会において報告を行った。またこれらの研究成果は,平成31年度の研究成果と合わせ,いずれまとまった形で公表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Administrative search の法理に関する判例及び学説の検討は順調に進み,当初の予定通り研究は進展している。また,年度末には米国にて資料収集・調査も行い,平成31年度の研究を進める環境も整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、平成30年度に検討したAdministrative search の法理について,米国における犯罪捜査に対する法的規律との比較を行う。加えて、我が国の犯罪捜査に対する規律及び行政調査に対する規律の異同にも着目し,日米比較を行う予定である。
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