2019 Fiscal Year Annual Research Report
農作物の生産・流通システムにおけるアクター間の役割分担のあり方についての研究
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19K20859
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田代 滉貴 岡山大学, 社会文化科学研究科, 講師 (60825686)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 農業法 / 農業協同組合 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度である本年度は、昨年度に引き続き、農業協同組合の法的構造の検討を行った。そしてそのうえで、本研究の総括として、同システムのあり方について考察を行った。 (1)昨年度は、日本における農業協同組合について、「農業協同組合の法制度」、「わが国における農業団体の歴史」、「農業協同組合の実態」という三つの観点から、その特徴を分析した。本年度はかかる分析の成果を踏まえ、日本およびドイツにおける公共組合(機能的自治行政)と比較しつつ、農業協同組合の法的構造を検討した。その結果、公共組合が「一定の集団に関係する事項について、国家もまた当該事項に関心を有している場合に、当該事項を国家の任務としたうえで、かかる集団を国家の一機関たる団体へと統合する仕組み」であるのに対し、農業協同組合は「組合員資格を有する者に団体を開放するとともに、団体内部での意思決定にあたって議決権を平等に割り振ることで、小規模農業者全体の利益代表を擬制する仕組み」であり、両者は「特定の任務を単位とし、当該任務の利害関係者を構成員とする自治組織の、異なるバージョン」として理解されるべきであることを明らかにした。 (2)以上の分析をふまえ、望ましい農作物の生産・流通システムのあり方について、一定の見通しを得た。特に食料管理法の廃止以降、同システムにおける農業協同組合の役割の比重が高まる中、国および地方公共団体が上記システムの維持について如何なる責任を負うべきかについて、検討を行った。 以上の研究の成果については、論文「農業協同組合の法理論(一)・(二)」としてまとめ、公表した。
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Research Products
(3 results)