2019 Fiscal Year Annual Research Report
不動産賃貸借における敷金に関する日米の比較法的研究
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19K20862
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小島 庸輔 早稲田大学, 法学学術院, 助手 (40822276)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 敷金 / アメリカ法 / 改正統一住宅用賃貸借法 / 統一商事法典第9編 / 担保物権法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,アメリカ敷金法制について,前年度におおまかに明らかにすることのできた,敷金の法律構成に関して,(1)債務構成を採用する裁判例,(2)信託構成,質権構成の登場による裁判例の混乱,(3)各州の立法による修正,(4)最新の統一法による担保権構成の提案という展開があること,敷金の返還手続等に関して,全米で賃借人保護を目的として,立法が精緻化する展開があることを前提として,主として,各州制定法,及び,3つの統一法の試みを対象に検討を行った。 とりわけ,2015年に改正された統一住宅用賃貸借法の敷金規定では,敷金を担保権(security interest)により構成する方法が採用されており,また,敷金の返還手続等に関する詳細な規定が設けられている。両者により,賃貸人と賃借人との利益調整が実現されているものと評価できる。 こうしたアメリカ法に対して,日本法は,債務構成を採用しており,また,敷金の返還手続等を定める規定を用意していない。これは,まさにアメリカ法の最初期と同様の状況にあるものといえる。 アメリカ法の展開を踏まえ,日本法においても,アメリカ法の2015年の改正統一住宅用賃貸借法に倣う形で,敷金法制を構築することを検討した。 以上の成果を,「アメリカ法における敷金法制の展開(3)」早稲田大学大学院法研論集170号77頁以下,及び,「アメリカ法における敷金法制の展開(4・完)」早稲田大学大学院法研論集171号109頁以下として公表した。
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