2018 Fiscal Year Annual Research Report
翼賛期日本の政治と民意との関係の研究――1940~1945年
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18H05662
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
趙 テキ 名古屋大学, 法学研究科, 研究員 (90825770)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 翼賛政治 / 民意 / 常会 / 協力会議 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近代日本の翼賛政治の時期(1940-1945)、人民の意見・要望が各統治勢力によって対応され、政治に反映された状況を地方・中央にわたって考察し、政治と民意との関係という視点から、翼賛体制の性質を再検討することを目的とする。具体的には大政翼賛会の下情上通機関である、地方・中央の各級常会・協力会議を研究対象とし、会議の運営、その上通事項・議案が処理され、政治過程に影響力を発揮し、実現された状況を考察し、政治と民意との関係を把握する。 本年度では常会・協力会議の整備過程及び名古屋市・愛知県の各級常会・協力会議の状況を考察し、現在の研究成果と研究代表者の大学院在学中の研究成果との整合も検討し、来年度の中央協力会議の状況の考察及び研究成果の整理・公表を準備した。具体的には東京及び名古屋市の諸機関にて資料調査を行い、中央部の各統治勢力の下情上通制度の構想と常会・協力会議の整備過程を考察し、さらに名古屋市・愛知県の各級常会・地方協力会議の運営、その上通事項・議案の処理状況を考察した。以上の研究成果を研究科内部で報告し、またそれをふまえて大学院在学中の成果を修正し、学会で報告を行う予定である。 来年度は中央協力会議の状況を考察し、地方・中央にわたって翼賛期の政治と民意との関係を把握し、翼賛体制の性質を検討する。2年間の研究成果を整理し、学会報告や論文寄稿を行う。なお、研究代表者の大学院在学中の研究成果と整合し、政治と民意との関係の視点から、近代日本の政治史を改めて描き出す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物品の購入や資料の調査・読解、論点の整理の作業は順調に進めている。作業用の機械及び関連書籍を購入し、また国立国会図書館、国立公文書館などの東京の諸機関及び名古屋市政資料館、愛知県公文書館にて資料調査を行い、資料に基づき常会・協力会議の整備過程、名古屋市・愛知県の各級常会・協力会議の状況を考察し、論点を整理した。なお、以上の資料調査の中で来年度の研究に必要な資料の存在状況も確認し、一部の資料を複写して保存した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度では、中央協力会議の運営、会議の議案の提出過程、議案が中央政府、大政翼賛会に処理され、政治過程に影響力を発揮し、実現された状況を逐年的に考察し、中央部の政治と民意との関係を把握する。考察の中で、特に名古屋市、愛知県の議案の状況に注目する。そこで、『中央協力会議会議録』、政府の公文書、『帝国議会誌』を中核的な資料とし、資料に基づき中央協力会議議員の階層・集団、彼らの議案の件数・内容の関連データを整理し、分析する。議案の提出・処理の一般状況を概観し、代表的な議案の処理を追跡していく。 得られた成果に基づき、2年間の研究成果をまとめ、翼賛体制下の下情上通制度の整備と運用、政治と民意との関係を地方・中央にわたって把握し、翼賛体制の性質を検討する。学会報告を行い、論文を執筆する。また、科研費の成果と研究代表者の大学院在学中の成果とを整合し、政治と民意との関係の視点から、近代日本政治史を改めて描き出し、本の出版を計画する。
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Research Products
(1 results)