2019 Fiscal Year Annual Research Report
オランダに居住するクルド系住民第2世代が送出地域の政治運動に共感する要因
Project/Area Number |
19K20869
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
寺本 めぐ美 津田塾大学, 国際関係研究所, 研究員 (40788981)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トランスナショナルな政治運動 / 在外クルド人 / オランダ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、オランダに居住し、トルコに出自を持つクルド系住民第2世代が、トルコのクルド政党であるクルディスターン労働者党(PKK)が展開する 「クルド・ナショナリズム」に共感する要因と、彼/彼女たちが PKK関連組織の活動に参加する契機を明らかにすることにあった。クルド系住民第2世代の活動を、 オランダにおける1990年代以降の統合政策に加え、クルド地域における歴史的経緯や政治的展開による影響を踏まえて考察した。特に、高等教育を受けず、高度な職業的技能も持たないノン・エリートの第2世代に焦点をあてた。 2019年度の研究目的は、クルド系住民第2世代がPKK関連組織の活動に参加する背景を、組織の側に加え、第2世代の側から考察することにあった。2019年度には、2018年度の現地調査でクルド組織幹部から紹介いただいた第2世代にインタビューを試みた。加えて、ドイツ・ボンにあるクルド研究センターや大学図書館にて資料収集を行った。 収集した資料を分析した結果、クルド系住民第2世代が、クルド研究センター等が主催するコンピュータ講習会等に積極的に参加してきたことが明らかになった。ただし、こうした講習に参加するものの、社会経済的地位の上昇を果たすことは容易ではない現状がある。2019年度の調査で、ノン・エリート層がPKK関連組織の活動に参加する背景として、トルコでの政治状況や、オランダにおけるトルコ系住民との緊張関係による影響が挙げられたことに加え、オランダ社会で相対的に低い社会経済的地位に留まるという経験が、第2世代の目を自身の出自に向けさせてきた可能性がある。
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Research Products
(2 results)