2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Bottom-Up Approach to State-Building in Historical Perspective
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18H05666
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐々木 優 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (00822264)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 国家建設 / 言語標準化 / 欧州史 / 歴史実証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「中央集権制度を長期的に支える社会的・文化的基盤を検討する」ことを主題としているが、2018年度は主に2点の研究課題を進めた。第一の研究課題では言語に焦点を当て、「言語の標準化とその帰結」に関する研究を主に行った。具体的には、産業革命以前(1300年-1800年)の欧州国家を例とし、各国で主に使用される言語が政治・経済・文化・研究活動などで幅広く使われることで体系化された結果、近世の経済発展に寄与したとする英字論文を執筆した。研究にあたっては、本研究課題採択以前から行なっていた過去の研究成果も踏まえ、独自のデータセットを構築し、定量分析を中心とする歴史実証分析を行った。初稿は3つの国際会議で報告し、そこでのフィードバックを踏まえ全面的に改訂した。
第二の研究課題では「官僚機構の設立過程」に関する検討を行った。歴史学の文献によると、欧州ではフランスが16世紀に導入した"intendancy"という現代の県知事に似た制度が、今日の官僚機構の要素を取り入れた最初の例とされている。仏近世政治史などでは頻繁に登場する制度だが、近世史を網羅した体系的な知見やデータがないため、実証分析するためにはデータセットを一から構築する必要がある。そのため、2018年度は研究補助員の力を借りつつデータ収集に注力した。(このデータセットを用いて行った分析結果は、2019年度にセミナー報告や国際会議で報告した。)
結果として、2018年度は英字論文一本を執筆しそれを3回の国際会議で報告し、別のプロジェクトでは「現在の進捗状況」で報告したように膨大な新規データセットを構築し、実証分析に向けた下準備を終えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は2つの研究課題を進めた。第一の"Language Underpinnings on Europe's Rise"は新規データセットを構築後、論文初稿を執筆し、3つの国際会議で報告した。そこで得たフィードバックを踏まえ全面的に改訂し、2019年度初頭に開催予定の国際会議に応募し採択された。
第二の“The Royal Consultants: The Intendants of France and the Bureaucratic Transition in Pre-modern Europe”は新規のデータセット構築完了。公刊資料などで明らかになった430名の知事(intendant)について、当該官僚組織における人事情報などの膨大な時系列データセット(1640年-1789年、64,500人年分)を構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の2つの研究課題のうち、第一の"Language Underpinnings on Europe's Rise"は2019年度に再度改訂予定である。第二の“The Royal Consultants: The Intendants of France and the Bureaucratic Transition in Pre-modern Europe”は2019年度に論文を執筆し、国際会議採択を目指す。
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Remarks |
執筆した論文は本ウェブサイトで公開しており、最新版を掲載している。
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Research Products
(4 results)