2019 Fiscal Year Annual Research Report
Bottom-Up Approach to State-Building in Historical Perspective
Project/Area Number |
19K20870
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐々木 優 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (00822264)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国家建設 / 言語標準化 / 欧州史 / 歴史実証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「中央集権制度を長期的に支える社会的・文化的基盤を検討する」ことを主題としているが、2019年度は3点の研究課題を進めた。第一の研究課題("Language Underpinnings on Europe's Rise")は、言語に焦点を当て、「言語の標準化とその帰結」に関する研究を行った。これは前年度からの継続課題であるが、前年度に3度の国際会議報告を重ねて得たフィードバックを元に全面改訂し、2019年度初頭の国際会議で報告した。また国内における1件の招待講演も行った。
第二の研究課題("The Royal Consultants: The Intendants of France and the Bureaucratic Transition in Pre-modern Europe")では、「官僚機構の設立過程」に関する検討を行った。こちらも前年度からの継続課題であるが、前年度はデータセット新規構築に注力し、本年度はデータ処理・分析を中心に研究を進めた。分析結果を2件の招待講演、1件の国際会議で報告した。それらを踏まえて改訂した論文は国内大学のディスカッション・ペーパーとして2020年度前半に公表予定。
第三の研究課題("Ethnic Autonomy")では欧州における中央国家の権力統合の過程を検討した。既存の研究では、首都から地理的に離れるほど国家権力の遂行力が落ちていくという分析がなされてきたが、本研究では国家が情報伝達のためのインフラを整えることで地理的条件を克服しようとする過程を描いた。具体的には、近世フランスの郵便網の発展に着目し、数世紀をかけて地道にネットワークを拡大し、国家権力の統合に寄与したとする実証論文を執筆した。本論文は3件の国際会議で報告し、2020年6月時点で国際査読誌に投稿中である。
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Research Products
(8 results)