2018 Fiscal Year Annual Research Report
対アフリカ外交の誕生・発展とその変容~証言で辿る冷戦後日本外交の軌跡
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18H05670
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
白戸 圭一 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (30822738)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | アフリカ / 日本外交 / インタビュー / 外交資料 / 情報公開請求 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本政府の対アフリカ外交の軌跡を明らかにするために、大別して次の4つの研究作業を実施した。 第1に、外交史料館を訪れ、既に開示されているアフリカ外交関連の公文書を閲覧し、文書を写真撮影したうえで研究室に持ち帰り、内容を解読する作業を実施した。特に集中的に閲覧して解読に努めたのは、1992年及び1994年の在外公館長会議(アフリカ大使会議)の議事録であり、これら2つの外交文書の精緻な分析により、東西冷戦終結後の日本の対アフリカ外交の立案・遂行をめぐって外務省内にいかなる意思と議論が存在したのかがかなりの程度把握できた。 第2に、情報公開制度を活用し、日本外務省に対して外交文書の開示請求を実施した。開示請求した文書は1989年の在外公館長会議(アフリカ大使会議)の議事録、1992年から1993年にかけて外務省内で作成されたアフリカ開発会議(TICAD)開催の経緯に関する会議録等である。 第3に、現職外交官、外交官OB(退官者)、研究者、国際機関関係者などを対象に日本の対アフリカ外交に関してのインタビューを実施した。全てのインタビューは先方の同意を得たうえで実施し、発言については先方の同意を得たうえで筆記録を残した。 第4に、日本の対アフリカ外交の特質を明らかにすることの前提として、日本のマスメディアが1990年代以降のアフリカの武力紛争について、どのように報道してきたのかを追跡し、報道の仕方の特質について整理した。その結果は、2万字程度の論文として執筆し、『立命館国際研究』の第31巻5号に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外交資料の閲覧については、日本外交研究の専門家らの協力及び指導のおかげで、当初想定していた以上に的確な公文書を特定することが可能になった。 一方、外交官、外交官OB等に対するインタビューでは、研究開始以前に期待していた人物の協力が思うように得られないケースがあった。キーマンと思われる人物が証言を拒否した例もあったことから、これを補うための何らかの調査が必要になっている。 ただし、全体としては、当初想定していなかった人物の協力が得られたケースもあり、おおむね順調に推移していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度中に情報公開請求した外交文書の開示に関する判断の期限が、2019年5月中にやってくる。まずは、この文書が開示され、その内容を精査することで、1993年の第1回アフリカ開発会議(TICAD)の開催の経緯が相当程度明らかになることが期待される。 次に、2019年度中にアフリカへの調査出張を企画している。当初はケニア在住の外交関係者へのインタビューを想定していたが、先方の諸事情によりこれが難しくなったため、インタビュー対象の変更を検討・調整中である。在南アフリカの外交関係者等が新たな候補として想定されるため、2019年5月~6月にかけて、インタビューの実現に向けて集中的な調整を実施する。 日本国内で可能なインタビューについては、2018年度中に既にある程度実施しているが、2019年度中には更なる候補者の掘り起こしを実施する。 2019年10月~3月の6か月間に、およそ1年に及んだ調査結果について、2万字程度の論文を執筆し、発表する予定である。論文タイトルとして「アフリカ外交の誕生~1993年の第1回アフリカ開発会議掲載の経緯を中心に」(仮)を想定している。
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Research Products
(4 results)