2019 Fiscal Year Annual Research Report
対アフリカ外交の誕生・発展とその変容~証言で辿る冷戦後日本外交の軌跡
Project/Area Number |
19K20872
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
白戸 圭一 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (30822738)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 対アフリカ外交 / TICAD / 国連安全保障理事会 / 開発 / 選挙対策 / アフリカ票 / 小和田恒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本政府の対アフリカ外交の特質を分析することを目的としている。そのために、アフリカ開発会議(TICAD)が1993年に開始された経緯を明らかにすることに注力し、インタビューと並行して外交史料館における資料収集や情報公開制度を利用した機密文書の開示も実施した。また、今後の研究の発展に向けて2010年代以降のアフリカ外交に関する予備的調査として、2019年9月にケニアでヒアリング調査等も実施した。 インタビューは1980年代末から90年代初頭にかけて外務事務次官、外務審議官、中近東アフリカ局長、アフリカ第2課長などを歴任した計9人に対して実施した。外交史料館では、既に一般公開されている1990年代初頭のアフリカ大使会議の議事録等を精査した。さらにTICADの開催について初めて外務省内で議論された1990年7月のアフリカ大使会議の議事録を情報公開制度を使って開示請求し、入手した。 インタビューでの証言及び外交資料を分析した結果、TICADが1990年当時の日本政府国連代表部で発案され、同年のアフリカ大使会議で初めてその構想が外務省内で共有された経緯が明らかになった。また、TICADが発案・企画された当初の理由は国連安全保障理事会非常任理事国選挙におけるアフリカ票の集票といった「選挙対策」であったが、小和田恒外務事務次官の下で、発展途上国の開発問題で日本が国際社会をリードする具体策へと構想が洗練されていった経緯も明らかになった。 これらの成果については新潮社国際情報ウエブサイト『フォーサイト』で2020年6月を目途に発表予定である。またアカデミズムの世界においては、日本アフリカ学会、国際開発学会等のジャーナルで2020年中に発表を予定している。一方、2010年代以降のアフリカ外交に関する予備的調査の成果は、後述するいくつかの書籍、論文等にまとめた。
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Research Products
(5 results)