2018 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアとマレーシアの政治・社会運動にみる国民の国家権力観の地域研究的分析
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18H05671
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
森下 明子 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (40822739)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | インドネシア / マレーシア / 社会運動 / 国家暴力 / 治安部隊 / 中産階級 / 権力観 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度はマレーシア、インドネシア、フィリピン、タイの社会運動に関する文献の収集・分析、社会運動の理論に関する文献の収集、マレーシアでの現地調査を実施した。 とくにマレーシアの社会運動に関する文献を収集し、またインドネシアに関しても当時の新聞・雑誌記事等の資料を多く収集した。 マレーシアの社会運動については2019年3月に現地調査を実施した。主な調査内容は、2007年の選挙制度改革運動を組織した政党関係者・NGO関係者、同運動に参加した一般人に対してインタビューを実施し、デモを実施するに至った経緯、デモでの行動、デモに参加した理由などについて聞き取りを行った。現地調査を通して、野党躍進のきっかけになったといわれる2007年の選挙制度改革運動について、先行研究では注目されてこなかった視点を得ることができた。なお、得られた録音データは2019年度に詳細に分析する。 インドネシアの社会運動については、1998年のスハルト退陣要求運動に参加した学生(特に中産階級の子弟)が国軍・警察をどのようにとらえていたのかについて、当時の新聞・雑誌資料や回顧録をもとに英語論文を作成、2019年度に出版される予定である。これまでのインドネシア政治研究において見過ごされがちであった「反政府活動家ではない「一般の」インドネシアの人々は国軍と暴力をどのようにとらえているのか」という研究課題を、スハルト時代の中産階級の若者層を切り口に論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は本研究課題の初年度のため、現地でのインタビューを含む一次資料および二次資料の収集に重点を置いた。当初インドネシアとマレーシアでの現地調査を予定していたが、現地調査の日数が十分に確保できなかったため、マレーシアでの情報収集に集中した。そのため、インドネシアでの現地調査は実施していない。 インドネシアに関しては国内での文献・資料収集および分析を集中して行い、2019年度の現地調査に向けて準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題二年目にあたる2019年度は国内および現地での資料収集に加えて、収集した資料の分析と分析結果の公表に重点を置く。 マレーシアに関しては、2019年度に現地調査を再度実施し、収集したインタビューデータを書き起こし、内容を詳細に分析する。分析結果をもとに論文を作成する予定である。 インドネシアに関しては、2019年度に現地調査を1回以上実施する予定である。また2018年度に投稿した論文が発表される予定である。 文献・資料の収集も引き続き行い、特にインドネシア、タイ、フィリピン、理論に関する文献を多く収集・分析する予定である。
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