2019 Fiscal Year Research-status Report
China's ethnic policy and historical institutionalism
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19K20875
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
熊倉 潤 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター グローバル研究グループ, 研究員 (60826105)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 新疆ウイグル自治区 / 反右派闘争 / 中ソ対立 / 文化大革命 / 少数民族 / ソ連 / 中国 / 民族自決 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目にあたる2019年度は、インプット重視であった前年度よりアウトプットに軸足を移し、積極的に研究成果を発表した。具体的には、6月のアジア政経学会において新疆ウイグル自治区の反右派闘争について報告を行った。8月には台湾国立政治大学民族学研究所で行われた国際ワークショップにおいて、「東突厥斯坦共和國部分領導者於中共建政之後的『中國化』過程」(中国語)と題し、新疆の少数民族エリートの政治的特徴が歴史的にいかに変容したかに関する報告を行った。 そのほか、日本国際政治学会の学術雑誌『国際政治』に、中ソ対立と文化大革命の時期の新疆の少数民族エリートについての論文を発表した。2020年1月には、台湾の日本語学術雑誌『問題と研究』に1949年から1950年代前半に、中国共産党の新疆統治をいかに始めたかを論じた論文を発表した。その上で年度末には、ソ連と中国の民族政策を対比的に描いた単著『民族自決と民族団結』(東京大学出版会)を出版した。 この間、6月に東京で開かれた旧ソ連・ユーラシア地域研究の国際学会The 10th East Asian Conference on Slavic Eurasian Studies、10月に新潟で開かれた国際政治学会に参加し、分野を同じくする研究者と意見交換を行った。また、2020年1月に台湾に出張し、補足の文献調査を行い、資料・出版物を購入し、単著出版の最終準備に役立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、もともとアウトプットに軸足を移し、いくつかの学会報告と雑誌論文の発表を通じて単著の出版を準備することを想定していたが、この点はクリアし、幸運にも年度内に単著『民族自決と民族団結』(東京大学出版会)の出版にこぎつけることができた。以上の点から、当初計画より進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
単著『民族自決と民族団結』(東京大学出版会)を出版することができたが、同書が学会において批判的検討の対象となるのは今後のことである。2020年7月にはソビエト史研究会にて同書の書評会が計画されており(新型コロナウイルスの情勢によっては中止もありうるが)、また同書についての書評も寄せられよう。分野を同じくする研究者との対話を通じ、本科研を通じて得られた知見に磨きをかけ、さらなるアウトプットにつなげていきたい。
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Causes of Carryover |
本年度は論文執筆と単著出版を優先し海外出張をあまり行わなかったことにより、主に資料収集のための旅費分として確保していた金額の約6割を次年度に繰り越すことになった。発生した次年度使用額については、資料収集の旅費および関連する文献の購入費用、資料の送料として使用する計画である。
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