2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Medium to Long Term Effects on Women's Wages by Taking Maternity Leave and Returning to Work
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18H05678
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷 真紀 (横山真紀) 東京大学, 社会科学研究所, 特任研究員 (00826852)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 女性労働 / 育児休業制度 / 短時間勤務制度 / 政策効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2002年、2005年、2010年の育児休業法の改正が、女性の中長期的な就業継続と賃金に与えた影響を明らかにすることである。近年、両立支援制度を利用した就業継続が増加しており、今後ますます、育児休業を取得した後に短時間勤務を取得して就業継続するというスタイルが一般化していくと予想される。しかし、両立支援制度に関わる政策変更と女性の就業に関する研究の国際動向と比べてみると、日本では本格的な実証研究の数がまだ少ない。本研究では、差の差分析(DID)の手法を用いて、短時間勤務制度と有期雇用労働者に着目し、2002年の短時間勤務制度の利用可能期間の伸長、2005年の有期雇用労働者への育児休業取得の適用拡大、2010年の短時間勤務制度の企業への導入義務化が、中長期的な女性の就業と賃金にどのように影響したかを実証的に検証する。 応募年度前年9月時点では申請資格がまだなく、交付年度の5月に応募を行い、年度の後半に交付決定となったため、初年度についてはそれほど多くの活動ができたわけではなかったが、先行研究サーベイ、データの貸出申請を行った。本研究で用いる官庁統計は申請から実際にデータが使用できるようになるまでに数か月かかるため、その間は、東京大学社会科学研究所が実施しているパネル調査「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」を用いて、本研究と同じ興味関心を持つが分析手法が異なる研究を行い、横山(2019)「両立支援策の利用が女性の賃金に及ぼす影響」『日本労働研究雑誌』No.703として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は半年間のみだったこともあり、先行研究レビュー、分析手法の精査、データの貸出手続きを進めることとしており、概ね計画通りに進展している。本来はデータの入手まで初年度中に完了できると予想していたが、厚生労働省側のデータ申請様式変更があったため、予想よりも時間がかかっている。しかしその間に先行研究のレビューを行ったことによって、「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」を用いた論文執筆に生かすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
データを入手し次第、Dictionary fileの作成、読み込み作業を行い、分析が可能な状態にする。本研究では、それぞれオーストリアとドイツの育児休業改正について政策変更の影響を検証したLalive et al.(2014)とShonberg and Ludsteck(2014)を参考にした政策効果の分析を行うが、分析に入る前に今一度それらの先行研究に目を通す。申請者が所属する研究所での意見交換や学会発表などを積極的に行い、投稿論文として仕上げていきたい。
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