2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Medium to Long Term Effects on Women's Wages by Taking Maternity Leave and Returning to Work
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19K20880
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Research Institution | National Institute of Population and Social Security Research |
Principal Investigator |
横山 真紀 国立社会保障・人口問題研究所, 企画部, 研究員 (00826852)
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Project Period (FY) |
2022-03-01 – 2023-03-31
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Keywords | 家族政策 / シンガポール / 家事労働者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、期間中に海外渡航による研究中断を挟んだため、最終年度となる本年度は、主に海外(シンガポール)と日本の女性の働き方について比較研究を行った。 日本のランキングが低いことでも知られるジェンダー格差指数におけるシンガポールの評価は146か国中49位となっており(日本116位)、特に経済活動における順位が28位と高い(日本121位)。共働き率8割とも言われるシンガポールの女性活躍を支える大きな柱の一つに、外国人家事労働者(Foreign Domestic Workers: FDW)がおり、1978年「外国人メイド計画」(Foreign Maid Scheme)以降、当時約5千人だったFDWは、その後急速に増加し、2020年には約25万人となっている。 シンガポールにおけるFDWは、確かにシンガポール人女性の社会進出を促したが、その一方で、シンガポール人女性が社会進出をして家庭における家事労働者の雇用が増えるほど、より貧しい国の女性が家事や育児・介護などの人口・世代の再生産を家庭内で支える労働に従事することになり、伝統的な性別役割分業体制がむしろ強化されてしまうという矛盾をはらんでいる。 家族政策については、2000年代以降、リプロダクティブ・ヘルス/ライツなどの人権意識の高まりを受け、シンガポール政府はあからさまな出生介入策は取らず、出産に対する負担を減らし、出産という選択を取りやすくするような政策へとシフトしている。2001年に結婚と子育てのパッケージ(Marriage and Parenthood Package:M&P Package)と称して一連の結婚・出産・子育て支援策が実施され、その後も随時強化・拡充されているが、様々な政策的支援にもかかわらず、シンガポールの出生率は思うように伸びていない(1.12(日本は1.3))。
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